橋(脳)(読み)きょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「橋(脳)」の意味・わかりやすい解説

橋(脳)
きょう

中脳と延髄の間にある部分で、小脳とともに後脳を構成する。後脳の背側部分が小脳であり、腹側部分が橋(きょう)である。小脳と橋との間には部屋があり、これは第四脳室の上半部にあたる。橋という名称は、脳底からみると、左右の小脳半球を橋のように連絡しているようにみえるためにつけられたものである。橋の腹側面正中部には縦走する浅い溝があり、ここを脳底動脈が通っている。橋が腹側に著明に隆起突出している形態は、高等動物がもつ特徴である。高等動物では、大脳半球皮質から橋、とくにその腹側部(橋底部)に大量の神経線維群(錐体路(すいたいろ)、皮質橋核路)が下行してきており、大脳半球の発達に伴って橋底部も発達している。橋底部には、そのほか、橋核とよぶ神経細胞群が散在性に存在し、小脳皮質に神経線維群を送っている。この神経線維群は橋底部内で横走している。橋の腹側外面には横走する多数の「しわ」がみられるが、これらのしわは、横走神経線維群がつくるしわである。橋の背側部(橋背部あるいは橋被蓋(ひがい)という)は、第5~第8脳神経の起始細胞群や、上行性、下行性の神経伝導路錯綜(さくそう)して走っている。第5脳神経(三叉(さんさ)神経)は橋腹側面のほぼ中央外側部からおこり、同じ腹側面の橋と延髄の境の部分で、正中線よりやや外側から第6脳神経(外転神経)、さらにその外側部から第7脳神経(顔面神経中間神経を含む)、第8脳神経(内耳神経=前庭神経+蝸牛(かぎゅう)神経)がおこる。内耳神経の出る部分は、ちょうど、橋、延髄、小脳の境界部にあたり、小脳橋角とよばれるが、小脳橋核腫(しゅ)(神経鞘腫(しょうしゅ))の好発部位として臨床上、重要視されている。なお、日本人の橋正中部の長さは約2.6センチメートルである。

[嶋井和世]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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