普及版 字通 「欠(漢字)」の読み・字形・画数・意味
欠
常用漢字 4画
(旧字)缺
10画
[字訓] かける・かく
[説文解字]
[字形] 形声
正字は缺に作り、夬(けつ)声。夬は(けつ)(切れめのある佩玉)をもつ形。缶は瓦器。その器の欠けることをいう。〔説文〕五下に「破るるなり」とあり、すべてものの欠失・欠落し、不充足の状態にあることをいう。いま欠を缺の常用字とするが、欠(けん)は欠伸(あくび)。その象形の字で、あくびを本義とする字である。
[訓義]
1. かける、かく、うちかく、やぶれる。
2. 不足する、たらぬ、不十分。
3. きず、すきま、欠点。
4. 欠任、空位、空職。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕缺 カク・ホル/欠 タラズ・ナシ・クボム・ヲカス・スクナシ・オトル・サトル・アクビ・アクビス 〔字鏡集〕缺 カク・カケタリ・ワル・ヤブル
[語系]
缺・闕khiuat、決kiuatは声義が近い。夬はをもつ形。は玉環の一部に切れめのある玉。これでものを切り断つ。ゆえに欠断・欠失の意がある。欠の正字缺は夬に従う。厥hiuatは剞(きけつ)、ものを刳(えぐ)り断つ刃器。闕は城門。城壁の一部を欠くところをいう。
[熟語]
欠項▶・欠位▶・欠遺▶・欠軼▶・欠壊▶・欠画▶・欠額▶・欠陥▶・欠虧▶・欠疑▶・欠欠▶・欠齧▶・欠月▶・欠限▶・欠口▶・欠歯▶・欠甃▶・欠如▶・欠少▶・欠傷▶・欠脣▶・欠折▶・欠絶▶・欠然▶・欠喪▶・欠短▶・欠典▶・欠点▶・欠廃▶・欠微▶・欠筆▶・欠文▶・欠乏▶・欠盆▶・欠本▶・欠落▶・欠籬▶・欠略▶・欠漏▶
[下接語]
瑕欠・罅欠・間欠・毀欠・虧欠・齧欠・残欠・守欠・出欠・長欠・破欠・微欠・補欠・無欠
欠
4画
[字訓] あくび・かける
[説文解字]
[甲骨文]
[字形] 象形
人が口を開いて立つ形。口気を発し、ことばをいい、歌い叫ぶときの形で、そのような行為を示す字に用いる。〔説文〕八下に「口を張りて气悟(もと)るなり。气、儿(じん)(人)上より出づるの形に象る」とするが、口を開いて欠伸(けんしん)する意で、あくびをいう。粤(えつ)俗には今も欠(けんきよ)という語があって、それはあくび・くさめをいう。欠は常用字では缺(けつ)の字に用いる。
[訓義]
1. あくび、くさめ。
2. かける、少ない。
3. かり、滞納。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕欠 タラズ・ナシ・クボム・ヲカス・スクナシ・オトル・アクビス/欠伸 アクビノビス
[部首]
〔説文〕に吹・歟・歇・欲・歌・など六十四字を属し、〔玉〕には百四十七字を属する。みな口気や飲食に関する字である。
[声系]
〔説文〕に欠声として坎など二字を収める。坎は陥の意。坎はまた坎坎という擬声語に用い、鼓の音や伐木の音をいう。
[熟語]
欠負▶・欠安▶・欠掛▶・欠額▶・欠▶・欠缺▶・欠債▶・欠字▶・欠事▶・欠須▶・欠少▶・欠伸▶・欠申▶・欠身▶・欠籍▶・欠折▶・欠銭▶・欠爽▶・欠単▶・欠通▶・欠点▶・欠乏▶・欠抑▶
[下接語]
欠・違欠・遺欠・積欠
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報