デジタル大辞泉
「此奴」の意味・読み・例文・類語
く‐やつ【×此▽奴】
[代]《「こやつ」の音変化》二人称の人代名詞。人を卑しめていう。きゃつ。
「年比―にあはむと思ふに」〈落窪・二〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
こ‐やつ【此奴】
(イ) 人をさす場合。
※
寒川入道筆記(1613頃)愚痴文盲者口状之事「此やつめ、宿に居たひと申、いとまをこい候程に」
(ロ) 物をさす場合。
※
滑稽本・
浮世風呂(1809‐13)前「此前後に紐
(ひぼども)付たは、此奴
(コヤツ)ども
天窓(てへん)さ打被る時、此紐
(ひぼ)ども、腮
(おとがい)のあたりへからみ付
(つく)る事か」
こ‐いつ【此奴】
〘代名〙 (「こやつ」の変化した語) 他称。話し手側の人、
事物などをさし示す(近称)。「これ」に対して話題の
人物をののしったり遠慮なくいう場合、または乱暴な
話し方で事物をさす場合に用いる。
(イ) 人をさす場合。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
※
浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)三「イヤこいつただ者ならず」
※
洒落本・娼妃地理記(1777)「
日本にては人をなじりてこいつは
流行ませうといふ事有」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「こいつアおもしれへおもしれへ」
く‐やつ【此奴】
〘代名〙 (「こやつ(此奴)」の変化した語)
対称。人をいやしめて呼ぶ語。きゃつ。こいつ。
※宇津保(970‐999頃)
藤原の君「おほかたは、女のなどかくは申す。くやつ、今また縛りかけよ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報