武器貸与法(読み)ブキタイヨホウ(英語表記)Lend-Lease Act

翻訳|Lend-Lease Act

デジタル大辞泉 「武器貸与法」の意味・読み・例文・類語

ぶきたいよ‐ほう〔‐ハフ〕【武器貸与法】

Lend-Lease Act》第二次大戦中、連合諸国に対して武器軍需品売却譲渡貸与する権限大統領に与えた、米国法律。1946年適用中止。

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精選版 日本国語大辞典 「武器貸与法」の意味・読み・例文・類語

ぶきたいよ‐ほう‥ハフ【武器貸与法】

  1. 〘 名詞 〙 ( [アメリカ] Lend-lease Act の訳語 ) 第二次世界大戦中、アメリカ大統領が、連合国に対し、武器および軍需品を売却・譲渡・貸与・交換し得ることを定めた法律。一九四一年三月議会通過、四五年八月適用中止。以後は借款の形式をとる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「武器貸与法」の意味・わかりやすい解説

武器貸与法
ぶきたいよほう
Lend-Lease Act

アメリカが武器を他国に貸与する際の手続を簡略化させる法律(レンドリース法)。

 第二次世界大戦中の「1941年武器貸与法」はF・D・ルーズベルト大統領のもとで成立した。ナチスドイツと戦うイギリスなどを支援するために制定された。同法は当時、ドイツと激戦を繰り広げたソ連をアメリカが支援するためにも活用されたほか、日本と戦っていた中国(中華民国)の支援にも適用された。

 それまでアメリカは中立法のもと、他国への軍事支援についてきわめて消極的だったが、この法律をきっかけにアメリカの防衛上、重大な関連がある場合、中立の立場をとっていても、武器などを供与できるようになった。本格的な参戦前から連合国を軍事的に支援していくようになったため、アメリカは「民主主義の兵器廠(しょう)」としての立場を築いていく。さらに大きな意味をもつのは、この法律をきっかけにそれまでの「孤立主義」から「国際主義」へとアメリカが歴史的に転換していくきっかけとなったことである。

 この法律を81年ぶりに復活させたのが「2022年武器貸与法」である。この法律は、ロシアのウクライナ侵攻に対抗するために、ウクライナや東ヨーロッパ諸国などへの迅速な支援のために、2022年5月9日に成立した。ただ、たとえば同月には400億ドルに及ぶ包括的な武器支援、経済支援の法案も成立しており、2022年末までは実際の支援の多くは別の立法措置で対応している。

 この法律が成立した5月9日は、第二次世界大戦におけるロシアの対ドイツ戦勝記念日である。この法律の復活は、かつてナチスを倒すために使われた法律が、今度は支援をしたロシアに対して使われるという象徴的な意味合いのほうが強い。

[前嶋和弘 2023年2月16日]

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改訂新版 世界大百科事典 「武器貸与法」の意味・わかりやすい解説

武器貸与法 (ぶきたいよほう)
Lend-Lease Act

第2次大戦における連合国向け援助に関し,1941年3月11日にF.D.ローズベルト大統領主導下に制定されたアメリカの法律。これにより大統領は,アメリカの防衛と重大なかかわりがあると認めた場合,たとえ法的に中立の立場をとっていても,他国に武器や食糧を供与できる権限を与えられ,参戦を待たずして連合国に戦争協力する道が開かれた。当初,同法はイギリスにのみ適用され,その後同年6月中国,11月にはソ連にも適用され,さらにベルギー,ポーランド,ギリシアなど多くの連合国諸国に拡大された。同法により大戦中アメリカが供与した物資等の総額は500億ドルを超え,うち310億ドルがイギリス,110億ドルがソ連に与えられ,連合国側の勝利に不可欠の貢献をなした。しかし,終戦直前の45年4月トルーマン大統領によって同法の対ソ適用が一方的に中断され,それが米ソ冷戦の発端の一つの契機となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武器貸与法」の意味・わかりやすい解説

武器貸与法
ぶきたいよほう
Lend-Lease Act

1941年3月 11日に制定された連合国への軍事援助に関するアメリカ合衆国の法律。 F.ルーズベルト大統領はドイツと戦うイギリスを積極的に援助する必要を重視し,この法律の立法化を議会に求めた (→民主主義の兵器廠 ) 。これによってアメリカの防衛と重大なかかわりがあると認められる他の国に,防衛に役立つ物資やサービスを供与できることになった。 41年6月には中国,同年 11月にはソ連にもこの法律が適用され,第2次世界大戦中,アメリカは総額約 500億ドルの物資やサービスを連合国に提供した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「武器貸与法」の解説

武器貸与法(ぶきたいよほう)
Lend-Lease Act

第二次世界大戦中,アメリカの防衛にとり重要な国に武器,軍需物資を貸与する権限を大統領に与えた法律で,アメリカがまだ参戦していない1941年3月に成立した。前年暮れのチャーチル英首相の要請に対し,F.D.ローズヴェルト大統領が応えたもので「民主主義の兵器廠(しょう)」となるという彼の構想の具体化であった。終戦までにイギリス,ソ連,中国など多くの連合国に500億ドルを超える物資を事実上供与し,連合国の勝利に不可欠な貢献を果たした。

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旺文社世界史事典 三訂版 「武器貸与法」の解説

武器貸与法
ぶきたいよほう
Lend Lease Act

1941年3月,連合国に軍事援助を行うためアメリカが制定した法律
このとき,アメリカは第二次世界大戦に参戦していなかったが,この法律の成立により,F.ローズヴェルトは連合諸国に武器・軍需品を貸与する権限を大統領に与えることを認めさせた。イギリスを中心として500億ドル以上が提供されて,連合国の勝利に不可欠の貢献をなした。1945年4月トルーマン大統領は同法のソ連に対する適用中止を宣言し,両国間の関係悪化の一要因となった。

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百科事典マイペディア 「武器貸与法」の意味・わかりやすい解説

武器貸与法【ぶきたいよほう】

1941年米国でF.D.ローズベルト大統領主導下に成立した法律。第2次大戦中,英・ソ・中国はじめ連合国に対する軍需品の供給を定めたもので,1945年廃止までに貸与額は500億ドルを越えた。
→関連項目中立法

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