比較(読み)ヒカク

デジタル大辞泉 「比較」の意味・読み・例文・類語

ひ‐かく【比較】

[名](スル)
二つ以上のものを互いにくらべ合わせること。「優等生の兄といつも比較される」
(「比較にならない」の形で)くらべるに価する対象。「まるで比較にならない得票差」
[類語]比べる比する見比べる引き比べる引き当てる並べる突き合わせる引き合わせる対比する対照する照合する類比するはかりに掛ける

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精選版 日本国語大辞典 「比較」の意味・読み・例文・類語

ひ‐かく【比較】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 二つ以上のものを互いに比べ合わせて、それらの間の類似点、相違点、一般法則などを考察すること。
    1. [初出の実例]「比較ともつづき、計較ともつづき、いづれもものをひきくらべみ申候ことにてござ候」(出典:随筆・一字訓(18C頃))
    2. [その他の文献]〔顔氏家訓‐省事〕
  3. くらべもの。比べるだけのねうちのある対象。
    1. [初出の実例]「おれが山城屋で占領した十五畳敷の床とは比較(ヒカク)にならない」(出典坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉九)

ひ‐こう‥カウ【比較】

  1. 〘 名詞 〙ひこう(比校)〔日誌必用御布令字引(1868)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「比較」の意味・わかりやすい解説

比較
ひかく
comparison 英語
Vergleichung ドイツ語
comparaison フランス語

二つまたはそれ以上の対象を種々の観点から観察し、それらの類似性ないし同一性、および差異性を明らかにする思考の働き。比較は、自然科学で実験法と並んで、確実な知識を得るための方法とされ、すでに古代において動植物の類型的分類のために用いられ、発展した。19世紀以来、精神科学の諸分野、たとえば言語、法律、宗教芸術などの研究にも適用され、成果をあげている。晩年ディルタイでは、比較は、諸世界観の類型化とそれらの展開・交錯の理解にもっとも有効な方法とされる。現代の哲学的解釈学では、比較は精神科学独自の歴史性を覆うと批判される。ガダマーは、『真理と方法』で「比較の本質は、このものもあのものも意のままにする認識主観性の非束縛性をすでに前提している」と述べている。しかし歴史的意識の有限性を自覚し、解釈学的手続を経たうえでなら、比較はやはり精神科学でも、とくに異文化の相互理解のために有効な方法であろう。

[小田川方子]

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普及版 字通 「比較」の読み・字形・画数・意味

【比較】ひかく

くらべる。〔顔氏家訓、省事〕祿の登らざるは、信(まこと)に天命に由る。須求して趨競(すうきやう)し、羞慚(しうざん)をみず。材能を比し、功伐功績)を斟量し、色を(はげ)しくし聲を揚げ、東怨西怒す。

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