江戸名所記(読み)えどめいしょき

精選版 日本国語大辞典 「江戸名所記」の意味・読み・例文・類語

えどめいしょき【江戸名所記】

江戸前期の名所記。「江戸名所物語」とも。七巻七冊。浅井了意著。寛文二年(一六六二)刊。友人二人で江戸の名所を巡るという趣向で、各名所の由来から、これにちなむ古歌俳諧などを七九項にわたって記述したもの。江戸に関する最初の本格的案内記

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デジタル大辞泉 「江戸名所記」の意味・読み・例文・類語

えどめいしょき【江戸名所記】

江戸の絵入り地誌最古のもの。7巻。著者浅井了意。寛文2年(1662)刊。江戸を代表する名所・神社仏閣などについて、その沿革伝説縁起などを記す。

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改訂新版 世界大百科事典 「江戸名所記」の意味・わかりやすい解説

江戸名所記 (えどめいしょき)

仮名草子,地誌。浅井了意作。1662年(寛文2)刊。7巻7冊。板下は了意みずからの手にかかる。同人作の《東海道名所記》のように小説の構成をとるものではなく,地誌・名所案内であるが,春の日に柴の戸を浮かれ出た男が道で同じ趣味の男に会い,二人打ち連れて名所多き江戸を巡るという趣向をもつ。この趣向は《東海道名所記》さらにさかのぼれば《竹斎》にも用いられている。また,行く先々で狂歌を読むことも古くから行われている。〈武蔵国〉の項から記述が始まり,江戸城日本橋以下,府内78ヵ所の名所旧跡について記し,府外にも記述が及ぶ所もある。
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日本歴史地名大系 「江戸名所記」の解説

江戸名所記
えどめいしよき

七巻七冊 浅井了意撰 寛文二年刊

版本 国立国会図書館・国立公文書館内閣文庫ほか

解説 江戸周辺の名所案内記。京都で刊行された最初の絵入りの江戸名所案内。武蔵国の沿革をはじめ、江戸城や日本橋・回向院新吉原など、明暦大火前後の名所や寺社などの八〇項目を挿絵と和歌を添えて紹介する。その後の江戸の地誌成立に与えた影響は大きい。

活字本 江戸叢書二・改造文庫・続々群書類従八・近世文学資料類聚・古版地誌編八・稀書複製会一〇期ほか

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江戸名所記」の意味・わかりやすい解説

江戸名所記
えどめいしょき

江戸最古の絵入り名所案内的地誌。著者は浅井了意(りょうい)と伝えられ、1662年(寛文2)京都五条寺町・河野道清刊。7巻。武蔵(むさし)国の沿革から始め、江戸城、日本橋などの江戸の名所80か所を、主として神社・仏閣を中心に見物する形式で記す。巻4には禰宜(ねぎ)町浄瑠璃(じょうるり)や歌舞伎(かぶき)、巻7には新吉原の記述もあるが、江戸城にはまだ天守閣が残り、また一方で吉祥寺(きちじょうじ)や回向院(えこういん)など明暦(めいれき)大火(1657)以後のこともみえるので、すべてが同時点の叙述とはいえない。挿画は初期の江戸史料としても貴重である。『続々群書類従』『江戸叢書(そうしょ)』『改造文庫』所収。

[水江漣子]


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百科事典マイペディア 「江戸名所記」の意味・わかりやすい解説

江戸名所記【えどめいしょき】

江戸初期の地誌。7巻7冊。伝浅井了意著。1662年刊。江戸地誌・名所案内で,80余の名所について絵入りで述べ,各名所ごとに歌を記す。江戸風俗資料としても貴重。以後,多くの名所記を生む。→江戸名所図会

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江戸名所記」の意味・わかりやすい解説

江戸名所記
えどめいしょき

地誌。7巻。浅井了意の作とされている。寛文2 (1662) 年京都で刊行。実用的江戸案内というよりは京坂の人々に江戸の名所や歴史,風俗を紹介したもので,多くの挿絵を入れ,江戸地誌の刊本としては最も古く,風俗史料としても重要。『続々群書類従』などに所収。 (→名所図会 )

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