日本大百科全書(ニッポニカ) 「江馬修」の意味・わかりやすい解説
江馬修
えまなかし
(1889―1975)
小説家。岐阜県生まれ。1916年(大正5)、青春の愛と苦悩を描いた長編小説『受難者』を発表、ベストセラーとなった。関東大震災後社会主義へ接近、ナップ系の一員として活躍。プロレタリア運動崩壊後故郷高山へ帰り、明治維新期飛騨(ひだ)に起こった農民一揆(いっき)を描いた著者のライフワーク『山の民』(1938~40)を完成した。第二次世界大戦後は藤森成吉(せいきち)らと『人民文学』を創刊、自伝『一作家の歩み』(1957)などを書いた。ほかに『暗礁』(1917)、『追放』(1926)などの長編小説がある。
[大塚 博]
『『江馬修作品集』(4巻にて中絶。1973・北溟社)』