日本大百科全書(ニッポニカ) 「泉二新熊」の意味・わかりやすい解説
泉二新熊
もとじしんくま
(1876―1947)
法律家、刑法学者。奄美(あまみ)大島に生まれ、旧制第五高等学校(現熊本大学)を経て、1902年(明治35)東京帝国大学法科大学独法科を卒業。5年4月に検事としてスタートして以来、大審院判事、検事総長等を歴任して、1939年(昭和14)63歳で大審院長になった。泉二は実務家としてのみならず、東京帝国大学法学部、東北帝国大学法文学部などの講師を兼任し、客観主義の刑法学者として活躍した。また、刑法改正作業においても、刑法改正予備草案、改正刑法仮案の作成に参与した。代表的著作としては、1908年の『改正日本刑法論』を分冊した『日本刑法論』上下二巻(1927)があり、ほかに『刑法大要』(1911)、『刑事学研究』(1920)などがある。
[名和鐵郎]