デジタル大辞泉
「海千山千」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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うみせん‐やません【海千山千】
- 〘 名詞 〙 ( 海に千年山に千年住みついた蛇は龍になるという言い伝えから ) 世の中の経験を十分に積み、ものごとの裏面にまで通じてずるがしこいこと。また、そういうしたたか者。海に千年山に千年。海千。海千川千。
- [初出の実例]「かういふと、彼女は、いかにも海千山千の剛の者らしく聞えるかもしれないが」(出典:一と踊(1921)〈宇野浩二〉二)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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海千山千
世の中の経験を十分に積み、ものごとの裏面にまで通じてずるがしこいこと。また、そういうしたたか者。
[使用例] ねえ、君などは海千山千の古ダヌキだからよく分ってるんだろうが、女がだね、若い女が男を殴るというのには、どんな意味があるのかね?[石坂洋次郎*青い山脈|1947]
[使用例] 海千山千と云われる待合の女将や、遣手婆さんが必しも人間の真相を知っている訳じゃあるまい[正宗白鳥*人間嫌ひ|1949]
[使用例] 天坊は神町キャンプ財務部主任のブオノ大尉の猪首の上に載った赭ら顔を思い泛べていた。童顔のくせしてじつは海千山千のやり手であるところがまず小憎らしい[井上ひさし*月なきみそらの天坊一座|1977]
[解説] 最初の[青い山脈]の例では、青年が知り合いの芸者に、女性の心理について尋ねています。芸者のことを「海千山千の古ダヌキ」と言っているのは失礼です。「男女の問題で場数を踏んでいる人」という意味になります。
「海千山千」の元の形は、「海に千年、山に千年」。ヘビが海や山に長く住むと竜になるという中国の話から、経験が長く、したたかな人物のことを指します。たたき上げの刑事などもそう言います。
山田太一脚本のドラマ「シャツの店」では、このことばが効果的に使われています。親友の娘から冗談で「好きです」と言われた中年男が、親友に向かって悔しまぎれに言います。
「あんなのは(まともな)娘なんてもんじゃない。あんなのは」
そこで絶句した後、男は「海千山千」とぼそり。親友は思わず、男をぶん殴ります。「性的にすれた女」という意味を表す、強烈な表現になるからです。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報
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海千山千
世を渡る間にさまざまな経験を積み、ずるがしこく、したたかになったさま。また、そういうしたたか者。
[使用例] 女にかけては、海千山千やと常日頃大きな口をたたいている男が、ぽけっとしている阿呆面は、あてにとっては、どんな風景よりも面白いものどした[藤本義一*好色六人女|1974]
[解説] 海と山に千年ずつ住んだ蛇は竜になるという俗説からいうことば。江戸から明治期の用例で多いのは「海に千年山(河)に千年」で、今日よく使われる「海千山千」はその短縮形です。確認できる用例では大正末期のものが最も古く、比較的新しい言い方とみられます。
出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の海千山千の言及
【海】より
…人間の出産と死亡の時刻が潮の満干と密接に関係しているといわれることや,チャンス到来を〈潮時〉といい,〈待てば海路の日和あり〉という言葉などは,帆船時代からの海の生活に由来するものであろう。〈海千山千〉というのも,海に千年,山に千年住んだ蛇は竜になるという伝承にもとづき,世の中の裏も表もわきまえた老獪(ろうかい)な人物を婉曲に指すのである。〈海のものとも,山のものともつかない〉など,海と山とが二項対立的,ないしは相互に融和したかたちで表現されることが多い。…
※「海千山千」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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