瀬見の小川(読み)セミノオガワ

デジタル大辞泉 「瀬見の小川」の意味・読み・例文・類語

せみ‐の‐おがわ〔‐をがは〕【瀬見の小川】

京都市左京区下鴨の東部を流れる川。賀茂御祖みおや神社糺森ただすのもりの南で賀茂川に入る。蝉の小川。[歌枕
石川や―のきよければ月も流れを尋ねてぞすむ」〈新古今神祇

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精選版 日本国語大辞典 「瀬見の小川」の意味・読み・例文・類語

せみ‐の‐おがわ‥をがは【瀬見小川・蝉小川】

  1. 京都の下鴨神社境内を流れる小川。高野川に注ぎ、鴨川に合流する。泉川
    1. [初出の実例]「石川やせみの小川にいぐし立てねぎし逢ふせは神にまかせつ〈顕昭〉」(出典:六百番歌合(1193頃)恋二・四番)

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改訂新版 世界大百科事典 「瀬見の小川」の意味・わかりやすい解説

瀬見の小川 (せみのおがわ)

歌枕。京都市左京区松ヶ崎を出て南流して賀茂川に入る泉川が,下鴨神社境内糺森(ただすのもり)を通過する部分を,現在〈蟬の小川〉と呼ぶ。しかし,初見の《山城国風土記》逸文では,賀茂川の本流をさして〈石川の瀬見の小川〉と呼んでいる。鴨長明無名抄》でも〈是ハカモ川ノ異名也。当社ノ縁起ニ侍ベリ〉という。現在の〈蟬の小川〉に転じた時期は不明。鴨長明の歌に〈石川やせみの小川の清ければ月もながれを尋ねてぞすむ〉(《新古今集》巻十九)とある。
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世界大百科事典(旧版)内の瀬見の小川の言及

【賀茂伝説】より

…山城の賀茂建角身(かもたけつのみ)命には,玉依日子(たまよりひこ),玉依姫(比売)(たまよりひめ)の2子があった。タマヨリヒメが瀬見(せみ)の小川(賀茂川の異称)のほとりに遊ぶとき丹塗矢(にぬりや)が川上より流れ下り,これを取って床の辺に挿し置くうちについにはらんで男子を産んだ。長ずるに及び7日7夜の宴を張り,タケツノミがこの子に〈汝が父と思はむ人に此の酒を飲ましめよ〉と言ったところ酒杯をささげて天に向かって祭りをなし,屋根を突き破って昇天した。…

※「瀬見の小川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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