無差別(読み)むさべつ(英語表記)indifferentia

精選版 日本国語大辞典 「無差別」の意味・読み・例文・類語

む‐さべつ【無差別】

〘名〙 (形動) 差別がないこと、または差別をつけないこと。区別をしないで、同等に扱うこと。また、そのさま。平等。むしゃべつ。
※花ごもり(1894)〈樋口一葉〉七「かかる時は是非無差別(ムサベツ)の日のかげにお近が念慮の勝をしめて」

む‐しゃべつ【無差別】

〘名〙 (形動) =むさべつ(無差別)日葡辞書(1603‐04)〕
洒落本・禁現大福帳(1755)一「是こそ無差別(ムシャヘツ)交合最第一の惚やうと云べし」

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デジタル大辞泉 「無差別」の意味・読み・例文・類語

む‐さべつ【無差別】

[名・形動]差別のないこと。同一のものとして扱うこと。また、そのさま。むしゃべつ。「無差別に攻撃する」
[類語]一律一様千篇一律等しい

む‐しゃべつ【無差別】

[名・形動]むさべつ(無差別)」に同じ。
流石さすがに天道是非―といいがたけれど」〈一葉・やみ夜〉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無差別」の意味・わかりやすい解説

無差別
むさべつ
indifferentia

善でも悪でもないものを意味するストア派のアディアポラに由来し,かたよりのない状態をいう。心理学的にはさまざまな情緒に対して中立で,特に幸不幸に対するわずらいのないことをさし,無関心とも訳される。この意味では,宗教に関してラムネーの論じた『宗教的無関心論』が知られる。論理学・形而上学的には,類種関係についての無差別説選言命題の2項のうちいずれをとっても理由は互角であることをさす場合,解釈学の面でソールズベリージョンの立てた無差別の原理 (語の多義性のために,歴史的テキストの正しい解釈は存在しない) などがある。また意志については非決定の訳語のほうが適切だが,その非決定の自由は選択が方向づけられていないことをいう。総じて無差別は価値的には中立な概念で,心理的無差別も諦念や純粋愛として積極的に評価されることがある。非決定の自由についても,たとえばデカルトは,一方でそこに選択の理由に関する認識不足をみて自由の最低の段階と評価する反面,正反対の二者のいずれをも肯定しうる積極的な能力と解してもいる。またシェリング同一哲学においては,絶対者である同一性は絶対的無差別とも呼ばれ,主観客観,理念的・実在的,心的・物的の無差別 (分化に先立つ根源性) と規定されている。

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デジタル大辞泉プラス 「無差別」の解説

無差別

中屋敷法仁による戯曲初演は劇団柿喰う客(2012年)。2013年、第57回岸田国士戯曲賞の候補作品となる。

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