無着(読み)ムジャク

デジタル大辞泉 「無着」の意味・読み・例文・類語

むじゃく【無着/無著】[人名]

《〈梵〉Asaṅgaの訳》[310~390ころ]インド大乗仏教の論師世親の兄。ガンダーラの人。初め小乗の僧であったが、弥勒みろくから空観くうがんを学んで大乗に転じ、瑜伽ゆが行・唯識説を大成した。著「摂大乗論」「金剛般若論」「順中論」など。無著菩薩。阿僧伽あそうぎゃ

む‐じゃく〔‐ヂヤク〕【無着/無著】

仏語執着のないこと。無執むしゅう

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精選版 日本国語大辞典 「無着」の意味・読み・例文・類語

む‐じゃく‥ヂャク【無着】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。執着のないこと。無執
    1. [初出の実例]「空といふは、無著の心、万法の不可得の理を達する姿なり」(出典:貞享版沙石集(1283)九)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無着」の意味・わかりやすい解説

無着
むじゃく
Asaṅga

[生]310頃. ガンダーラ,プルシャプラ
[没]390頃
インド仏教の唯識学派の学者。サンスクリット語アサンガの訳で無著とも書く。世親の兄。初め出家して上座部仏教を学んだが悟りを得ることができず,一時は自殺をすら決意した。のちにマイトレーヤ (弥勒弥勒菩薩とは別) の教えを受けて唯識説を教示され,それを組織的に論述し,インド仏教思想史上,きわめて重要な位置を占める。主著摂大乗論』『六門教授習定論』『順中論』『金剛般若経論』『顕揚聖教論』『大乗阿毘達磨集論』など。奈良,興福寺に運慶作の無着菩薩立像がある。

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