牢籠(読み)ロウロウ

デジタル大辞泉 「牢籠」の意味・読み・例文・類語

ろう‐ろう〔ラウ‐〕【×牢籠】

引きこもること。勤務につかないこと。
「上卿皆以て辞退し―の間、自ら懈怠を致すなり」〈中右記・寛治七年一〇月〉
苦しみこまること。困窮すること。
神主―の事ありて」〈著聞集・一〉
衰えること。落ちぶれること。
仏法衰微、王報の―、まさにこの時にあたれり」〈平家・四〉
自分手中に入れ、自由に操ること。籠絡ろうらくすること。
三界を―し、四生を綿絡して」〈性霊集・六〉

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精選版 日本国語大辞典 「牢籠」の意味・読み・例文・類語

ろう‐ろうラウ‥【牢籠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とりこめること。ひとまとめに自分のものとすること。
    1. [初出の実例]「牢籠三界、綿絡四生」(出典:性霊集‐六(835頃)弘仁太上奉為桓武皇帝講御札法花経達一首)
    2. [その他の文献]〔淮南子‐本経訓〕
  3. 人前に出ないこと。勝手にひきこもること。
    1. [初出の実例]「此間牢籠不御送」(出典:小右記‐寛仁元年(1017)八月二一日)
  4. 作法に従わないこと。あわててとりみだすこと。
    1. [初出の実例]「左大臣追参於院乗車〉参議時光乗車、牢龍候院」(出典:小右記‐正暦六年(995)正月二日)
    2. 「胸つぶれて、かかる折りのらうろうならずはえ参るまじく」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  5. 正当でないこと。
    1. [初出の実例]「謂年号村上朝之年号、除目者冷泉院之除目、配代之冷泉院御宇耳、牢籠之詞」(出典:小右記‐長徳三年(997)七月五日)
  6. 主権を犯され、自由を失うこと。
    1. [初出の実例]「右、件所所先祖相伝領掌、老乱之間、或荒廃或牢籠」(出典:東南院文書‐天喜四年(1056)二月二三日・散位藤原実遠所領譲状案)
    2. 「故無く懸命の地を没収せられ、伯父甥共に牢籠(ラウロウ)の身と罷なる間」(出典:太平記(14C後)三三)
  7. 勢力が衰えること。窮乏没落・流寓すること。
    1. [初出の実例]「修理用途可七千疋歟〈略〉自上可三千疋之由被仰。上下牢籠之間、大略欲闕如」(出典:明月記‐建久九年(1198)二月一九日)
  8. 籠絡すること。人をうまくまるめこむこと。
    1. [初出の実例]「おほぞうの宮仕へのすぢに、らうろうせむ」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)藤袴)
    2. [その他の文献]〔唐玄宗‐巡省途次上党旧宮賦〕
  9. 牢屋に押し込めること。また、牢屋に押し込められること。

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普及版 字通 「牢籠」の読み・字形・画数・意味

【牢籠】ろう(らう)ろう

包括する。また、術中に陥れる。〔唐言、三〕(慈恩寺題名游賞賦詠雑記、論)科第の設けらるるは、革多し。、亂を撥(をさ)めて正に反し、特に科名んにするは、志は(えいげん)を牢籠するに在り。

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