普及版 字通 「特(漢字)」の読み・字形・画数・意味
特
常用漢字 10画
[字訓] おうし・ひとり・ただ
[説文解字]
[字形] 形声
声符は寺(じ)。寺に待(たい)・等(とう)の声があり、特はその入声の音。〔説文〕二上に「朴特(ぼくとく)、牛なり」とあり、牡牛をいう。〔詩、魏風、伐檀〕「胡(なん)ぞ爾(なんぢ)のに懸特(けんとく)るを瞻(み)る」の〔伝〕に「獸三なるを特と曰ふ」とあって、成獣をいう。人に及ぼして人の傑出した者をいい、〔詩、秦風、黄鳥〕に「百夫の特なり」の句がある。副詞として、ただ、ひとりのように用いるのは、独と通用の義である。
[訓義]
1. おうし、おす、成獣。
2. 一匹の牛、一匹の犠牲。
3. すぐれる、ぬきんでる、異なる。
4. たぐい、つれあい。
5. 独・直・徒・但などと通じ、ただ、ひとり、ことに。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕特 辨色立に云ふ、特牛、頭の大なる牛なり。俗語に古止比(ことひ)と云ふ 〔名義抄〕特 コトニ・タダ・マコト・ヒトシ・ヒトリ・タグヒ・オコナフ/特牛 コトヒ 〔字鏡集〕特 サカリナルウシ・タグヒ・ヒトシ・コトニ・コトヒウシ・ウシ・タダ・ヒトリ・ソコナフ・マコト
[語系]
特dk、犢dokは声義近く、犢(とく)は子牛、その三歳なるを特という。獨(独)dokは匹のない牡獣で、単独・孤独の意がある。直dik、徒da、但danはその声近く、たがいに通用して「ただ」の意に用いる。
[熟語]
特異▶・特意▶・特恩▶・特簡▶・特起▶・特技▶・特牛▶・特群▶・特県▶・特肩▶・特兀▶・特旨▶・特祀▶・特識▶・特赦▶・特殊▶・特趣▶・特授▶・特舟▶・特秀▶・特出▶・特将▶・特勝▶・特賞▶・特色▶・特枢▶・特栖▶・特棲▶・特選▶・特奏▶・特創▶・特操▶・特貸▶・特卓▶・特達▶・特地▶・特徴▶・特長▶・特定▶・特典▶・特点▶・特特▶・特任▶・特拝▶・特筆▶・特表▶・特別▶・特放▶・特俸▶・特命▶・特免▶・特有▶・特宥▶・特揖▶・特来▶・特立▶
[下接語]
英特・寡特・介特・怪特・奇特・特・軒特・堅特・懸特・孤特・殊特・秀特・峻特・絶特・超特・挺特・独特
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報