2000年(平成12)から2016年まで存在した発電事業者の分類の一つ。東京電力や関西電力などの大手電力会社(旧称、一般電気事業者)とは別に、大口電力需要家(原則50キロワット以上)向けに、大手電力会社の電線網を使って電気を小売りしていた電気事業者をさした。PPS(power producer and supplier)、あるいは新電力ともよばれた。2016年4月に改正電気事業法が施行され、家庭向けなど50キロワット未満の電力小売りが完全自由化されたのに伴い、特定規模電気事業者という名称は電気事業法から消え、一般電気事業者とひとくくりで小売電気事業者となった。
全国に10社ある大手電力会社が独占した電力小売市場の自由化を目ざして2000年に施行された改正電気事業法で初めて規定され、電気小売事業への新規参入が可能となった。2004年から500キロワット以上、2005年には50キロワット以上の大口需要家向けに電力を供給。2015年6月末時点で、全国に商社、ガス会社、石油会社、鉄鋼会社などが運営する693社(届出累積件数)の特定規模電気事業者があった。一般に特定規模電気事業者の電気料金は大手電力会社より安く、原子力発電以外の風力、太陽光、小型水力などの再生可能エネルギーに電源を依存している事業者が多いという特徴があった。2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故後、電気の購入先を大手電力会社から特定規模電気事業者に切り替える動きが広がった。なお、2016年4月の改正電気事業法の施行で、電気事業者の類型は大きく「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」に分け直され、旧来の10電力会社(一般電気事業者)と新規事業者(特定規模電気事業者)との区分はなくなり、かつての特定規模電気事業者は経済産業省・資源エネルギー庁の審査を経て、小売電気事業者への登録が必要となった。
[矢野 武 2018年7月20日]
(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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