出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
茶を献じることで、これには二つの考え方がある。江戸時代までは貴人に茶を献じることを称して献茶といった。それは815年(弘仁6)に近江(おうみ)韓崎(からさき)(滋賀県大津市)梵釈寺(ぼんしゃくじ)で大僧都(だいそうず)永忠が行幸中の嵯峨(さが)天皇に茶を献じたことに発している(『日本後紀(こうき)』)。その後、1585年(天正13)豊臣(とよとみ)秀吉が、関白拝命の祝賀の意を込めて禁中において茶会を催し、正親町(おおぎまち)天皇に茶を献じたことをもって献茶の意が確立した。しかし明治以後にあっては、家元宗匠が神社や寺院に茶を奉じることをもって献茶と称するようになった。現在では、神前での奉仕を「献茶」、仏前への奉仕を「供茶」といって区別する場合もある。
[筒井紘一]
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