環境クズネッツ曲線(読み)かんきょうくずねっつきょくせん(その他表記)environmental Kuznetz curve

知恵蔵 「環境クズネッツ曲線」の解説

環境クズネッツ曲線

横軸に1人当たり平均所得を取り、縦軸環境汚染程度を取ると、1人当たりの所得増加につれて初め汚染が増大し、一定レベルに達した後、やがて低下に転ずる逆U字型の曲線を描く。この曲線を環境クズネッツ曲線と呼ぶ。所得水準の向上につれ、環境規制の技術や制度が整い、人々が環境をより重視するようになるので、経済活動が活発になっても(なるからこそ)環境汚染が相対的に減少すると解釈されている。しかしこのことから、所得水準の向上を追求すれば環境問題が解決できる、と楽観することはできないし、不可逆的な被害が生じないとも限らない。

(植田和弘 京都大学大学院教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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