菌類や藻類でみられる雌性配偶子嚢(のう)で、造精器と同じ個体または別の個体に形成される。卵は、一つの生卵器中に1~数個つくられる。卵は、卵質(生卵器の中心部にある原形質)から形成された卵球(原形質の塊)であり、多くの場合、核は一つであり、受精後は卵胞子(接合子)になる。紅藻類ではこの器官を造果器という。緑藻類や紅藻類では、生卵器(造果器)中で受精が行われるが、褐藻類では受精は生卵器の外で行われる。卵菌類のミズカビ類では、一般に配偶子嚢接合によって卵胞子を形成するが、単為生殖的に卵胞子を形成したり、生卵器形成の途中で造精器に変化することもある。
車軸藻植物、コケ植物、シダ植物のように、卵を保護する組織が特有な構造をもつものは造卵器とよび、生卵器とは区別される。
[安田啓祐]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…中に卵をつくり有性生殖にかかわる。一般の藻類では雌性配偶子囊は生卵器(せいらんき)oogoniumと呼ばれ,1個の細胞からなりその中に卵がつくられる。車軸藻類では,造卵器は楕円形で,卵細胞のまわりを数本の細長い細胞がらせん状に巻きついたように並んでいる。…
…藻類や菌類では単細胞性の雌性配偶子囊である。生卵器oogoniumの中に,コケ植物や維管束植物では多細胞性の造卵器archegoniumの底部につくられるが,造卵器を欠く被子植物では,胚囊embryo sacをつくるふつう8細胞のうちの一つが卵になり,助細胞を伴って胚囊の珠口側に位置する。卵は卵母細胞から体細胞分裂によってできるが,カサノリなどのように複相の植物体の場合は,減数分裂を経てできる。…
※「生卵器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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