男信(読み)ナマシナ

デジタル大辞泉 「男信」の意味・読み・例文・類語

なましな【男信】

江戸後期の語学書。3巻。東条義門著。天保13年(1842)刊。漢字音の韻尾にn音とm音の区別があり、それが日本の古い地名表記などに示されていることを考証したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「男信」の意味・読み・例文・類語

なましな【男信・奈万之奈】

  1. 江戸後期の語学書。三巻。東条義門著。天保六年(一八三五)成立、同一三年刊。上代日本に渡来した漢字音には、ム韻尾とン韻尾の区別があり、それに対応して日本語でも、ム韻尾の字はマ・バ行に、ン韻尾の字はナ・ラ行の音を表記するのに用いられたことを、上代文献の用例を挙げて証明したもの。書名信濃の地名を借りたもので、ム韻尾の男はナマの音を、ン韻尾の信はシナの音を表わすのに用いられた例として、本書意図を端的に示した。本居宣長の「字音仮字用格(じおんかなづかい)」で不明確であった点を明らかにした、字音仮名遣研究史上の一業績であるとともに、国語音韻史研究上の重要な業績である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「男信」の意味・わかりやすい解説

男信
なましな

東条義門の著。全3巻。文化5 (1808) 年の初稿を改訂し,天保6 (35) 年成立。同 13 (42) 年刊。漢字音の研究書。ンで終っている漢字に古くは-mと-nの発音の区別があったことを豊富な用例で示した書。題は上野国 (群馬県) 利根郡にある地名からとったもの。「男」も「信」も当時ともにンで終っていた (ナン,シン) が,古くさかのぼるとそれぞれ-m,-nで区別があり,片やマ (ナマ) ・バ行音に,片やナ (シナ) ・ラ行音に転用されているのはその区別の反映であるとする。これによって本居宣長の説を修正発展させた。

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