普及版 字通 「直(漢字)」の読み・字形・画数・意味
直
常用漢字 8画
[字訓] あう・あたる・ただしい・なおい・ただちに・ただ
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
省(せい)+(いん)。省は目に呪飾を加え、巡察することをいう。いわゆる省察である。は隔てる意であろうと思われる。〔説文〕十二下に「正しく見るなり。十目に從ふ」とする。〔大学章句、六〕の「十目のる、十手の指す、其れ嚴かなる乎(かな)」の語によって解するものであろうが、目の上は省・(徳)の字と同じく、呪飾とみるべきである。心部十下に「悳(とく)は外には人に得、には己に得るなり」とあり、その重文の字は、本条の古文の字と似ている。悳は金文にの字として用いる。直は目の呪力を示すもので、「値(あ)う」意となり、価値の意となる。但と声近く、ただの意に用いる。
[訓義]
1. あう、目でみる。値の初文。
2. あたる、むかう、はべる、とのい。
3. ただしい、なおい、すなお、よい。
4. あたい、ね、ねうち、また値を用いる。ただちに、すぐ。
5. 但と通じ、ただ。
6. たて、まっすぐ。
7. 飾と通じ、へりかざり。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕直 ナホシ・アタヒ・スクム・トノヰ・タダ・タダチニ・アタル・ミル・タダシ 〔立〕直 アタル・タダ・サダカニ・アタヒ・ミル・マコト・ナホシ・ヒトヰ・ヒヒチニ・タダニ・タダシ
[声系]
〔説文〕に直声として殖・植・値・悳・埴など七字を収める。置を网(もう)直に従う会意の字とするが、置は置網の意であるから、「网(あみ)を植(た)てる」意で、植の省声に従う形声字とみるべきであろう。
[語系]
直・値dikは同声。直をまた値の意に用いることが多い。副詞の「ただ」の意の、特dk、獨(独)dok、徒da、但danなど、みなその系統の語である。
[熟語]
直銭▶・直衛▶・直音▶・直下▶・直覚▶・直諫▶・直議▶・直偽▶・直兄▶・直系▶・直言▶・直硬▶・直鉤▶・直行▶・直視▶・直士▶・直史▶・直指▶・直事▶・直辞▶・直日▶・直柔▶・直宿▶・直書▶・直峭▶・直聳▶・直縄▶・直情▶・直上▶・直心▶・直臣▶・直進▶・直遂▶・直性▶・直声▶・直清▶・直切▶・直截▶・直前▶・直属▶・直致▶・直置▶・直陳▶・直披▶・直眉▶・直筆▶・直方▶・直朴▶・直面▶・直訳▶・直喩▶・直立▶・直亮▶・直諒▶・直廬▶・直路▶
[下接語]
紆直・介直・奸直・簡直・狂直・強直・曲直・禁直・謹直・愚直・勁直・狷直・伉直・硬直・直・剛直・司直・質直・実直・宿直・純直・準直・正直・峭直・縄直・垂直・誠直・切直・直・卒直・率直・端直・忠直・貞直・挺直・当直・日直・平直・秉直・方直・朴直・夜直・亮直・諒直・廉直
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報