日本大百科全書(ニッポニカ) 「真境名安興」の意味・わかりやすい解説
真境名安興
まじきなあんこう
(1875―1933)
沖縄研究者。笑古(しょうこ)と号した。明治8年5月20日、沖縄の首里(しゅり)の士族家に生まれる。旧制沖縄中学に学んだあと新聞記者、吏員となり、1925年(大正14)2代目の県立沖縄図書館長となった。かたわら文化・学術団体を主宰し、後進の指導にあたったが、昭和8年12月28日、業なかばにして死去した。博覧強記を誇った研究者で、その仕事は歴史を中心に文学、芸能、民俗、産業など多方面に及んでいる。真価をいかんなく発揮した代表的な著作は『沖縄一千年史』(1923)で、戦前における沖縄研究の記念碑的な著作である。多くの論文、遺稿を残しているが、その仕事の全貌(ぜんぼう)はいまだ集成されていない。
[高良倉吉]