山形県北端,最上郡の町。人口9165(2010)。町域の大半は丁岳(ひのとだけ)山地の山林で,東部を南流する真室川,西部を南流する鮭川沿いに低地が開ける。主集落の真室川は,天文年間(1532-55)に小野寺氏の部将佐々木(鮭延(けさのべ))氏が築いた真室城の小城下町で,1622-24年(元和8-寛永1)には戸沢氏6万石(新庄藩)の居城地であった。また羽州街道(国道13号線)の要衝でもあったため,郡北の中心として栄えた。1904年奥羽本線が街道と並行して通じ,秋田方面とも結ばれた。庄内地方とは鉄道のほか国道344号線も連絡している。農業は米作が中心。サケ,アユの放流,イワナ,ニジマスの養殖漁業,丁岳山地に産する良質の杉材を主に製材,家具製造なども活発である。山菜加工,ウルシ栽培にも力を注ぎ,繊維,弱電の工業も誘致されている。北端の及位(のぞき)は羽州街道の宿場町であった。《真室川音頭》の発祥地であり,鷹匠による狩りを伝えることでも知られる。
執筆者:松原 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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