デジタル大辞泉
「真澄鏡」の意味・読み・例文・類語
まそ‐かがみ【真▽澄鏡/真▽十鏡】
《「まそ」は「ますみ」の音変化、または、ととのっているものの意という》
[名]鏡をほめていう語。立派な鏡、また、よく澄んだ鏡。
「―手に取り持ちて朝な朝な見れども君は飽くこともなし」〈万・二五〇二〉
[枕]鏡のありさま・働きや置き場所などいろいろな意でかかる。
1 「見る」にかかる。
「―見ぬ日時なくあらましものを」〈万・四二二一〉
2 「懸く」にかかる。
「―かけて偲へとまつり出す」〈万・三七六五〉
3 「床」にかかる。
「―床の辺去らず」〈万・二五〇一〉
4 「磨ぐ」にかかる。
「―磨ぎし心を許してば」〈万・六七三〉
5 「清し」にかかる。
「―清き月夜に」〈万・一五〇七〉
6 「照る」にかかる。
「―照れる月夜も闇のみに見つ」〈万・二八一一〉
7 「面影」にかかる。
「―面影去らず」〈万・二六三四〉
8 鏡に蓋があるところから、「ふた」にかかる。
「―二上山に」〈万・四一九二〉
ます‐かがみ【真▽澄鏡/▽十▽寸鏡】
「まそかがみ」に同じ。
「ゆく年の惜しくもあるかな―見る影さへに暮れぬと思へば」〈古今・冬〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ます‐かがみ【真澄鏡】
[1] 〘名〙
※古今(905‐914)冬・三四二「ゆくとしのをしくもある哉ますかがみ見る
かげさへにくれぬと思へば〈
紀貫之〉」
② 氷を鏡にたとえた語。
※班子女王歌合(893頃)「冬寒み水の面に懸くるますかがみ疾くも割れなむ老い惑ふべく〈作者不詳〉」
[2] 枕
① 鏡に写る影の意で「影(かげ)」にかかる。
※後撰(951‐953頃)
離別・一三一四「身をわくる事のかたさにます鏡影許をぞ君にそへつる〈大窪則善〉」
※金槐集(1213)秋「天の原ふりさけ見ればますかかみきよき
月夜に雁なきわたる」
まそみ‐かがみ【真澄鏡】
※
万葉(8C後)一三・三三一四「たらちねの 母が形見と 吾が持てる 真十見鏡
(まそみかがみ)に」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報