出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
粒子のもつ角運動量の,ある方向(通常,z軸にとる)に関する成分の固有値は,一般にm(h/2π)で与えられ,mを磁気量子数とよんでいる.hはプランク定数である.ここでいう角運動量とは,軌道角運動量,スピン角運動量,またはそれらを合成した全角運動量をさす.また,1粒子の角運動量の場合と,多粒子系の合成角運動量の場合とがある.角運動量の大きさが方位量子数lにより
(h/2π)
で与えられるとき,mは0,±1,±2,…,±lの合計2l + 1個の値をとることができ,球対称の場ではこれらの状態は縮退しているが,磁場がかかると異なるエネルギー準位に分裂する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…このように複数個の状態が等しいエネルギーをもつとき,そのエネルギー準位は縮退しているという。z方向に磁場をかけると,上記の量子数mのそれぞれの値に応じてエネルギーの差ができるので,mを磁気量子数と呼ぶ。 水素原子がエネルギーの高い定常状態からエネルギーの低い定常状態に遷移すると光を放出するが,量子力学で求められた定常状態のエネルギー準位は,ボーアの原子模型におけるエネルギー準位と一致しているから,放出される光の振動数も同じになり,それはすでに述べたように水素の原子スペクトルの測定結果と一致する。…
…そのなかに時間がたっても変わらないものがあればよい量子数という。水素原子の電子のエネルギー固有状態は,(エネルギー)-2,角運動量の大きさとz成分,スピンのz成分のそれぞれの固有値に当たる主量子数n,方位量子数l,磁気量子数m,スピン量子数σの四つで一意に標識される。スピン軌道相互作用まで考える精度ではmとσはよい量子数ではない。…
※「磁気量子数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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