移木の信(読み)イボクノシン

デジタル大辞泉 「移木の信」の意味・読み・例文・類語

いぼく‐の‐しん【移木の信】

中国、秦の商鞅しょうおう国民法令に対する信頼を得る手段として、都の南門に立てた木を北門に移した者には懸賞金を与えるという布告をし、布告通りに与えたという「史記」商君伝に見える故事から》約束をきちんと守ること。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「移木の信」の解説

移木の信

約束を固く実行すること。

[使用例] 有名なる「しょうおう、移木の信」の逸話は、この法刑万能主義を表現するものとしてすこぶる興味あるものである[穂積陳重*法窓夜話|1926]

[由来] 「史記―商君伝」に見える話から。紀元前四世紀、戦国時代の中国でのこと。しんという国の宰相しょうおうは、政治改革を行うにあたり、新しい法令を発布しても、国民が信用しないことを恐れていました。そこで、都の南の門に大木を立て、「これを北の門に移した者には一〇金を与える」とお触れを出しました。しかし、そんな単純なことでお金をもらえるはずがないと考えて、だれもその木を移動させようとしません。それを知った商鞅は、賞金を五〇金に引き上げます。すると、ある人がこの木を移動させたので、この人に約束どおり五〇金を与えて、自分が法令をきちんと施行することをわからせた、ということです。

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