種物（読み）タネモノ

デジタル大辞泉

たね‐もの【種物】

１ 栽培用の野菜・草花の種。《季 春》
２ 穀類の総称。
３ 関東で、かけそば・かけうどんに、てんぷら・卵・油揚げなどの具をのせたもの。
４ シロップや小豆などを入れた氷水。
[類語]種・種子・核・実さね・種皮・莢・菜種

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

たね‐もの【種物】

〘名〙

① 穀類の総称。

※百姓伝記（1673‐81頃）八「種ものにかぎらずむし付ものの品々寒のうちに一日二日ほして」

② 草木の種子。たね。《季・春》

※交隣須知（１８Ｃ中か）一「春 ハルハ 万草ガ 生シ スベテノ タネモノヲ ウエルニヨリ」

③ 汁そばや汁うどんのうち、肉・卵・てんぷら・かまぼこなど、種を入れたもの。

※落語・お蕎麦の殿様（1894）〈禽語楼小さん〉「種物(タネモノ)とか汁物とか称へて蕎麦を助ける品が中に這入って居る」

④ 氷水にシロップやあずきなどを入れたもの。

出典　精選版 日本国語大辞典

改訂新版　世界大百科事典

種物 (たねもの)

農作物の栽培の出発点となる繁殖体。種苗とほぼ同義に用いられる。種物には作物体の各種の器官が利用されている。最も一般的なものは種子あるいは果実で，イネ，ムギ，トウモロコシ，マメなどで利用される。野菜では種子のほかに，これから育てられた苗が利用される。いも類では種いも（塊根，塊茎）が利用されるが，これから育てられた苗が使われる場合（サツマイモ）もある。果樹類では苗木，挿穂，接穂などが，また花類では種子のほか，塊根や各種の地下茎（園芸分野では一括して球根と呼ばれる）が種物となる。種物には農家が自家生産する場合のほか，市場を通じて業者から購入する場合，国公立研究機関から所定の経路を通じて購入する場合など，さまざまな流通過程がある。農家や栽培者は自家の経営形態や作物の特性を考慮して，このいずれかを選択している。種物は優良な性質をもっていること，斉一であることなど，品種の特性を備えていることのほかに，病害虫に汚染されていないこと，栽培が容易で生育が良好であることなどが重要である。種物は一般に貯蔵・輸送に適した性質をもっているが，苗のように柔弱な場合には流通の範囲は限られたものとなる。
執筆者：武田 元吉

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

和・洋・中・エスニック　世界の料理がわかる辞典

たねもの【種物】

①天ぷら・肉・卵などの具を入れ、汁をかけたそば・うどん。
②シロップ・あずきあんなどを入れたかき氷。

出典　講談社

世界大百科事典（旧版）内の種物の言及

【種苗】より

…
［農林業の種苗］
　農林業では繁殖のために使用する植物体の一部または全体をさし，種物（たねもの）ともいう。最もふつうに利用されるのは種子または果実であるが，このほかに苗や苗木，あるいは各種の地下茎や枝(接木や挿木に利用する)，台木も種苗として取り扱われる。…

※「種物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」