竈山神社（読み）かまやまじんじゃ

精選版 日本国語大辞典

かまやま‐じんじゃ【竈山神社】

和歌山市和田にある神社。旧官幣大社。神武天皇の兄神、五瀬命(いつせのみこと)を主神とする。五瀬命の没地とされ、境内北方にその墓（竈山墓）がある。釜山神社。

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

かまやま‐じんじゃ【竈山神社】

和歌山市和田にある神社。旧官幣大社。祭神は、神武天皇の兄の五瀬命いつせのみこと。

出典　小学館

日本歴史地名大系

竈山神社
かまやまじんじや

• 和歌山県：和歌山市
• 河南地区
• 和田村
• 竈山神社

[現在地名]和歌山市和田

旧官幣大社。祭神は彦五瀬（ひこいつせ）命。釜山神社とも記す。北接して彦五瀬命墓（竈山墓）がある。記紀に、神武天皇東征の際戦死した天皇の兄五瀬命の墓が紀伊国の竈山にあると記されるが、「続風土記」は和田（わだ）村「竈山墓（かまやまのみはか）」の項に当所がその竈山で、直ちに社を建てて斎祭したので竈山墓と竈山神社は一所であると記す。

「延喜式」神名帳にみえる名草（なくさ）郡「竈山（カマヤマ）神社」に比定され、「紀伊国神名帳」には「従四位上竈山神」とある。永徳元年（一三八一）七月二五日の釜山神社神主職宛行状（日前宮文書）によると、紀国造家によって鵜飼新五郎が神主に補せられている。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

改訂新版　世界大百科事典

竈山神社 (かまやまじんじゃ)

和歌山市に鎮座。彦五瀬（ひこいつせ）命をまつる。《日本書紀》に，彦五瀬命は神武天皇の兄で，神武天皇東征のとき，ともに進み，孔舎衛坂（くさえざか）の戦で敵の流矢に当たって負傷，のち茅渟（ちぬ）の海より雄の水門を過ぎ紀伊国竈山に進んだとき薨（こう）じ，その竈山に葬ったとあるが，本社の後丘にその墓と伝えられるものがある。延喜の制で小社，その墓は諸陵寮式に〈竈山墓，彦五瀬命，兆域東西一町，南北二町，守戸三烟〉とある。すなわち，早くより神社と墓と結びついていたとみられる。《紀伊国神名帳》に従四位上とあり，旧官幣大社。1938年の祭神2600年大祭を機会に境内を整備拡張した。例祭は10月13日。
執筆者：鎌田 純一

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

竈山神社
かまやまじんじゃ

和歌山市和田に鎮座。祭神は神武(じんむ)天皇の皇兄、彦五瀬命(ひこいつせのみこと)。神武(じんむ)天皇の東征の途中、彦五瀬命は孔舎衙(くさか)坂で長髄彦(ながすねひこ)と戦った際、流れ矢にあたり負傷したため軍は進路を転じ、紀国雄水門(きのくにおのみなと)から竈山へ向かったが、この地で没したと伝える。神社の背後にその墓があり、『古事記』には陵と記される。『延喜式(えんぎしき)』では国幣小社とされ、古くより皇室の崇敬が厚かった。1585年（天正13）、豊臣(とよとみ)秀吉の根来寺(ねごろじ)征伐の際、兵禍により社地、社領などを失ったが、1669年（寛文9）、徳川御三家の一つ和歌山藩徳川頼宣(よりのぶ)によって再建され、以後歴代藩主の厚い崇敬を受けた。旧官幣大社。本殿の左わきには神日本磐余彦天皇(かんやまといわれひこのすめらみこと)ほか2神を祀(まつ)る左脇殿（神武天皇社）がある。例祭は10月13日。

［飯尾直樹］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

百科事典マイペディア

竈山神社【かまやまじんじゃ】

和歌山市和田町に鎮座。旧官幣大社。神武天皇の兄彦五瀬(ひこいつせ)命をまつる。神武天皇東征の時，命は戦傷のためこの地に没した。墓を営み，その前方に本社を建ててまつったのに始まるという。延喜式内社とされる。例祭は10月13日。

出典　株式会社平凡社

デジタル大辞泉プラス

竈山(かまやま)神社

和歌山県和歌山市にある神社。延喜式内社。主祭神は神武天皇の兄で、東征の折にこの地で没したとされる、彦五瀬命(ひこいつせのみこと)。

出典　小学館