立添(読み)たちそう

精選版 日本国語大辞典 「立添」の意味・読み・例文・類語

たち‐そ・う ‥そふ【立添】

[1] 〘自ハ四〙
[一] (「たち」は接頭語)
① 離れないで、そばにつく。つき添う。寄り添う。
続日本紀(770)宝亀元年三月辛卯・歌謡乙女等に男多智蘇比(タチソヒ)蹈鳴(ふみならす)西の都は万世(よろづよ)の宮」
源氏(1001‐14頃)帚木「親などたちそひもてあがめて」
② ある状態に他のものが加わる。つけ加わる。
※源氏(1001‐14頃)蛍「いとどしき御匂のたちそひたれば、いとふかくかほりみちて」
③ 他の人のあとを追って死ぬ。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「程もなく又たちそひぬべきが、くちをしくもあるべきかな」
[二] 霞、煙などが何かと一緒になって、たち込めたり、立ちのぼったりする。また、煙などとともに立ちのぼる。
※源氏(1001‐14頃)篝火「かかり火にたちそふ恋のけふりこそ世には絶えせぬほのをなりけれ」
山家集(12C後)上「藻塩焼く浦のあたりは立のかで煙たちそう春霞かな」
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒たちそえる(立添)

たて‐そ・える ‥そへる【立添】

〘他ハ下一〙 たてそ・ふ 〘他ハ下二〙 (室町ごろからヤ行にも活用した) 立てて添える。さらにつけ加えて立てる。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「さりとも、物の怪のするにこそあらめ、いとかく、ひたぶるにな騒ぎそと、しづめ給ひて、いよいよいみじき願どもを、たてそへさせ給ふ」

たち‐そ・える ‥そへる【立添】

〘他ハ下一〙 たちそ・ふ 〘他ハ下二〙 (「たち」は接頭語) 加える。つき従わせる。
拾遺愚草(1216‐33頃)上「恨をやたちそへつらむ七夕のあくれば帰る雲の衣に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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