筋小胞体(読み)きんしょうほうたい(その他表記)sarcoplasmic reticulum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筋小胞体」の意味・わかりやすい解説

筋小胞体
きんしょうほうたい
sarcoplasmic reticulum

筋繊維 (筋肉細胞) の小胞体は,形態機能も,一般細胞のものとは分化して異なっているので,特に筋小胞体と呼ぶ。筋原繊維周囲に発達している扁平な袋状ないし小胞状の構造であって,一方では筋肉細胞の細胞膜面と接触して,神経による外からの刺激を受容し,他方ではこの刺激に応じて細胞内部との間でカルシウムイオンの能動的移動を行なって,このイオンを必要とする筋収縮機能の調節を行なっている。初め,小胞状に分断された形で,超遠心分離によって筋肉組織から分離されて弛緩因子と名づけられ,やがてこの因子は筋小胞体そのものであることが明らかとなった。

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栄養・生化学辞典 「筋小胞体」の解説

筋小胞体

 筋細胞滑面小胞体.筋収縮,弛緩を制御するカルシウムイオンを貯蔵したり放出したりする機能がある.

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世界大百科事典(旧版)内の筋小胞体の言及

【筋収縮】より

…つまり筋収縮は,筋フィラメントのまわりの微量のCa2+の増減によって調節される。骨格筋繊維の内部には筋小胞体sarcoplasmic reticulumという袋状の膜構造が発達しており,その内腔にCa2+をとり込む性質がある。このため静止状態の筋繊維内のCa2+は大部分筋小胞体内腔にとり込まれており,筋フィラメント周囲のCa2+濃度は10-7mol以下にすぎない。…

【骨格筋】より

…筋肉の収縮はアクチンとミオシンの間に滑込みが起こるという滑り説(1953)が広く受け入れられている。 筋形質にはミトコンドリアと筋小胞体sarcoplasmic reticulumがよく発達している。後者は,網状で立体的に広がる滑面小胞体でL系(longitudinal system)とよばれ,その内腔の中にカルシウムを入れる。…

【小胞体】より

…粗面小胞体は核膜と連続しているときが多く,粗面小胞体上のリボソームで作られたタンパク質の分泌物質は滑面小胞体に入り,細胞内に縦横に散在する小胞体(ゴルジ体を含めて)を通って細胞外に分泌される。筋肉細胞の小胞体は特殊に分化した滑面小胞体で,筋小胞体sarcoplasmic reticulumと呼ばれ,Ca2+の細胞質への放出,取込みで筋の収縮,弛緩の調節を行っている。細胞【武田 文和】。…

※「筋小胞体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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