(読み)ハク

デジタル大辞泉 「箔」の意味・読み・例文・類語

はく【×箔】

金属をごく薄く打ち延ばしたもの。金箔銀箔錫箔など。「を押す」
人が重んじるように外面的に付加されたもの。値打ち。貫禄。「が落ちる」
[類語]金属軽金属重金属貴金属卑金属非金属かね合金金箔ホイルメタル

はく【箔】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ハク(漢)
すだれ。「珠箔
すだれ状のすのこ。「蚕箔
のべがね。「金箔銀箔

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精選版 日本国語大辞典 「箔」の意味・読み・例文・類語

はく【箔・薄】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 金属をたたいて、紙のように薄く平らに延ばしたもの。また、それらを置いたり散らしたりした紙。金箔、銀箔、錫箔、銅箔などがある。
    1. [初出の実例]「金銀薄泥、用之公私、有費无益、冝断之」(出典:続日本後紀‐承和元年(834)二月癸巳)
    2. 「Facuuo(ハクヲ) ヲク〈訳〉金箔または銀箔をつける」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. 能の装束一種。唐織(からおり)、水衣(みずごろも)などの上着の下に着る小袖に、模様を金や銀の箔で摺ったり、縫ったりしたもの。
    1. [初出の実例]「藤戸・定家などは、いかにもさびたるはくにてよし。はなやかなる事、あしく候也」(出典:金春安照秘伝書(1606))
  4. 値うち。貫祿。
    1. [初出の実例]「此女が小利口の才覚ひとつにて、良人が箔(ハク)の光って見ゆるやら知らねども」(出典:ゆく雲(1895)〈樋口一葉〉上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「箔」の意味・わかりやすい解説


はく

金属の薄片のこと。金属の展延性を利用してごく薄く打ち延ばし、適当な大きさに切って美術・工芸品の装飾に使用する。古くは金、銀、錫(すず)などでつくられ、現在ではプラチナ、アルミニウム、銅、真鍮(しんちゅう)なども用いられる。奈良時代の『内匠式(たくみしき)』に「白鑞工」の名がみえ、白鑞(しろめ)すなわちいまの錫箔を打つ専門工人が当時すでにいたことがうかがわれる。箔の大きさは時代によって異なり、現在は金が11~12センチメートル四方、銀が11センチメートル四方が普通とされているが、古くは6センチメートル四方の金箔もあり、『内匠式』には白鑞箔が方八寸(約24センチメートル)と記されている。

 日本では金・銀箔の古い使用例として高松塚古墳の石室壁画がある。また木彫仏像や仏画などの装飾、屏風(びょうぶ)下地としての箔押し、料紙装飾として細かく切った切箔(きりはく)や糸のような野毛(のげ)など、古くからさまざまに利用されている。そのほか金工品では銅製品に金箔を張って鍍金(ときん)(めっき)と同じような効果を出したり、漆(うるし)工芸でも箔絵(はくえ)に、染織では摺箔(すりはく)、縫箔(ぬいはく)、金糸(きんし)、銀糸(ぎんし)などに広く用いられている。

[原田一敏]

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百科事典マイペディア 「箔」の意味・わかりやすい解説

箔【はく】

金属箔

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【日本画】より

…ほかに合成絵具,棒絵具,泥絵具,顔彩などがある。絵具
[箔,泥,砂子]
 箔(はく)には金,銀をはじめとし,プラチナなどが用いられる。金箔には厚さの違いと,銀や銅との合金による色の差があり,純金箔,山吹,青金(あおきん),水金などと呼ばれる。…

※「箔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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