箱書(読み)ハコガキ

デジタル大辞泉 「箱書」の意味・読み・例文・類語

はこ‐がき【箱書(き)】

[名](スル)
書画陶磁器などを入れた箱に、作者題名などを記し、署名押印すること。また、そのもの。鑑定家価値を保証した署名などにもいう。
シナリオを作成する際、あらかじめ各シーンごとに要点を書きとめておくこと。
[類語]お墨付き極め付き鑑定書保証書血統書

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精選版 日本国語大辞典 「箱書」の意味・読み・例文・類語

はこ‐がき【箱書】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 書画・器物などを収めた箱に、中の品の名称や、作者の署名、押印などを記したもの。また、鑑定家などが、その作品が真作であることを保証して、署名、押印したもの。
    1. [初出の実例]「可参候公卿不幾者、執筥書之間為何」(出典:権記‐長保二年(1000)八月二八日)
  3. シナリオ執筆のさい、あらかじめ各シーンごとに抜き書きすること。それぞれ縦横の罫を使って箱わくをつくり、その中に一シーンずつ書きこむところからの名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「箱書」の意味・わかりやすい解説

箱書
はこがき

絵画、書、あるいは陶磁器などの工芸品を収める箱に、題を記し、署名や押印などをしたもの。作者自身によって書かれるときと、その弟子や、作者その人について詳しいことを知っている人が書く場合が多い。箱書は作品の真贋(しんがん)を鑑定する重要な意味をもつが、古美術品の箱書は、箱書そのものが真贋を見分ける研究の対象となることがある。現代では、題だけではなく、作者と所蔵者の関係、由来などを箱蓋(ぶた)の裏に書くこともあり、とくに定まった形式というものはない。

[永井信一]

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世界大百科事典(旧版)内の箱書の言及

【鑑定】より

… 彼らは作品の伝来や作者の究明,価額について意見を求められ,それを鑑定したものが〈極(きわめ)〉であり,古筆家は〈極札〉を発行した。〈箱書〉も極の一種だが,箔をつける意味もあった。近代に入ると,文献的な考証や西洋美術史学の方法をとり入れた実証的な比較鑑定,さらに科学的方法が導入され鑑定法も発達する。…

【シナリオ】より

…トーキーの時代を迎えると,サイレント映画の字幕に代わる台詞(dialogue)の問題が生じ,劇作家や小説家が映画のシナリオに参加するようになり,シナリオの重要性が改めて強調されたが,そのために,いきおいせりふが多くなって,サイレント時代に完成された純粋に視覚的な映画演出の基盤がくずれ,映像よりもことばに頼る傾向が強くなり,〈映画芸術〉の発達を遅らせる結果になったことも事実である。 シナリオの作業過程としては,脚本家あるいはシナリオライターscreenwriterによって,まずざっとあら筋が書かれた〈synopsis〉(シノプシスあるいは梗概(こうがい))があり,次いで〈treatment〉(本書き)があり(日本映画のシナリオは,ふつう,物語の展開や人物間の関係をせりふとともにシーンごとにまとめた〈箱書き〉の形式で書かれる),それから監督が演出プランに基づいてカット割りを行ってカットごとの撮影,照明,演技者の出入りまでを細かく規定した〈shooting script〉(撮影台本あるいはコンテ=コンティニュイティ)の段階がある。エイゼンシテインやヒッチコックのようにカットごとに〈storyboard〉(絵コンテ)を描く監督もいる。…

※「箱書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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