平安後期における荘域拡大の方法の一つで,四至内の公領や他の所有者の田地を荘田化すること。ときには四至外の出作田などを荘田にとり込む加納と同義に用いられる場合もある。〈こめさく〉ともいう。史料上の初見は1070年(延久2)7月7日の官宣旨にひかれた美濃国司の申状に,〈くだんの両荘(大井・茜部両荘)本免田各廿町のほか籠作公田六十八町余,おのおの荘田と称し国務にしたがわず。くだんの田卅余町前司藤原定房朝臣の任に奉免し,卅町前司源師良朝臣の任に御封未済の代に奉免するところなり。その年限をいうに皆起請以後の加納なり〉とあるものである。その後伊勢国川合大国荘,近江国香御園,河内国の石清水八幡宮領などで,荘園整理の対象として問題となっている。
執筆者:工藤 敬一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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