糸縒り(読み)イトヨリ

デジタル大辞泉 「糸縒り」の意味・読み・例文・類語

いと‐より【糸×縒り/糸×撚り】

糸をより合わせること。糸によりをかけること。また、その糸。
糸縒り車」の略。
延年舞の一。稚児女装で、糸をよりながら男を待つ所作を演じたものという。初期歌舞伎の女方芸にも伝わった。
イトヨリダイ別名

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精選版 日本国語大辞典 「糸縒り」の意味・読み・例文・類語

いと‐より【糸縒・糸撚】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 糸をより合わせること。糸によりをかけること。
    2. いとよりぐるま(糸縒車)」の略。
    3. 操り人形。
    4. いとよりだい(糸縒鯛)
      1. [初出の実例]「あかがい なべやき、汁たい、引て、いとより やきて」(出典:松屋会記‐久政茶会記・天正一四年(1586)二月二四日)
      2. [その他の文献]〔生物学語彙(1884)〕
    5. 魚「やがら(矢柄)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
    6. 延年舞の曲の一つ。稚児が女装で、枠に糸を巻きながら思う男を待つという所作の称。江戸初期の歌舞伎芸に伝わる。
      1. [初出の実例]「三十郎が狂言、伝介が糸よりとて、京中これにうかされて見物するほどに」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)六)
  2. [ 2 ] 狂言。現在の「お茶の水」の原形で、「天正狂言本」に所収。

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