紀寺(読み)きでら

改訂新版 世界大百科事典 「紀寺」の意味・わかりやすい解説

紀寺 (きでら)

現在は璉珹(れんじよう)寺と号す。奈良市にある寺。行基創建の伝承があるが,実際は天智天皇のころ紀氏(きうじ)を檀越(だんおつ)として飛鳥の地に創建され,平城遷都の後,左京五条七坊にあたる現在地に移転したものと思われる。奈良時代には多くの奴婢を有する大寺であった。平安時代になって現れる〈璉城寺〉は紀寺の後身とされる。江戸時代には興福寺と浄土宗誓願寺が末寺と主張して争ったが,現在は天台宗を経て浄土真宗に属する。寺宝に重文の観音勢至立像がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android