デジタル大辞泉
「紗綾形」の意味・読み・例文・類語
さや‐がた【×紗×綾形】
卍の形をくずしてつづり連ねた模様の名。紗綾の織り模様に多く用いられる。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さや‐がた【紗綾形】
〘名〙 (紗綾の織り模様に多く用いられるところからいう) 模様の
一種。卍
(まんじ)の字をくずして、つづり連ねたような形のもの。
染物の
地模様、
建築の
装飾などにも用いられる。
まんじつなぎ。
※
洒落本・
浮世の
四時(1784)「あのさやがたのけん法を着ている人がいっちゑゑヨ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
紗綾形 (さやがた)
卍(まんじ)つなぎの一種で,卍をななめにつらねた連続模様。紗綾(さや)は4枚綾からなる地合の薄い絹織物。その地紋に用いられたのでこの名があるという。この系統の模様は名物裂(めいぶつぎれ)に多くみられ,おそらく明時代の中国から伝わったものであろう。日本では,桃山時代ころからの染織品の模様に多く用いられている。ことに江戸時代には綸子(りんず)の地文はほとんどが紗綾形で,これに菊,蘭などをあしらったものが,紗綾形綸子として非常に多く行われた。今日でも,染織品の地模様としてひろく用いられている。
執筆者:山辺 知行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
紗綾形
さやがた
模様の一つ。卍(まんじ)つなぎ文の一種で、端正な卍つなぎを菱(ひし)状にゆがめた形。菱万字ともよぶ。紗綾という絹織物の地文として多く用いられたところからこの名がある。桃山時代以後おもに綸子(りんず)の地文に用いられた。また小紋や唐紙、さらには神社建築の装飾としても広く用いられている。
[村元雄]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
紗綾形【さやがた】
くずした卍(まんじ)を連続させた模様。江戸時代舶来の絹織物の紗綾の地紋に用いられたのでこの名がある。吉凶ともに通用し,染織品の模様に多く用いられ,特に綸子(りんず)の地紋として知られる。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
世界大百科事典(旧版)内の紗綾形の言及
【卍】より
…連続文の万字繫ぎは不断長久(ふだんちようきゆう)を表すものとして織物や黄檗(おうばく)山万福寺の装飾などに用いられている。万字繫ぎの一種,[紗綾形](さやがた)は桃山時代に明から輸入された紗綾という織物の紋であったことからその名がついたというが,卍のもつ仏教的イメージから離れているためか,日本の織物や襖紙の文様として愛好されている。【一条 薫】。…
※「紗綾形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」