紫根(読み)シコン

デジタル大辞泉 「紫根」の意味・読み・例文・類語

し‐こん【紫根】

ムラサキの根。古くはその煮汁を染料とした。漢方では解熱解毒薬に用いる。
紫根色」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「紫根」の意味・読み・例文・類語

し‐こん【紫根・紫紺】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「紫紺」は明治以降のあて字 )
  2. ムラサキソウの根。また、それを乾燥したもの。皮膚病薬とするほか、昔は紫色の染料に用いた。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「紫根掘」(出典:俳諧・季寄新題集(1848)冬の部)
  3. しこんいろ(紫根色)
    1. [初出の実例]「帯は紫根の七糸(しちん)百合折枝を縒金(よりきん)盛上にしたる」(出典金色夜叉(1897‐98)〈尾崎紅葉〉前)

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改訂新版 世界大百科事典 「紫根」の意味・わかりやすい解説

紫根 (しこん)

ムラサキ科の宿根草ムラサキの根による染料の名。古代から東洋,西洋において高貴の色とされた。古代エジプトでは〈ティリアン紫〉として知られる動物性の貝紫を用い,中国,朝鮮,日本では紫根によった。その代表的な絹の染色には灰汁(あく)が媒染剤に用いられた。生絹をツバキの灰汁に浸して灰汁練りをし,布地精練がすむと,灰汁中のアルミニウムが絹に吸着され紫根の温湯浸出液中の色素シコニンを染着する。灰汁練りに1ヵ月,深紫を得るのに1ヵ月を要した。《万葉集》巻十二に〈紫は灰指すものぞ〉と歌われるように,〈灰指〉は飛鳥時代の灰汁練りを示す染色の技術用語である。室町期以降,木綿の紫染めは豆汁(ごじる)をかけて染着の効果を高めた。
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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「紫根」の解説

しこん【紫根】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ムラサキ科ムラサキの根を乾燥したもの。紫の色素シコニンを含み、昔は高貴な人の紫色の染料としても用いられた。炎症湿疹(しっしん)やけど切り傷などに有効とされ、塗り薬などおもに外用薬として用いる。外傷、やけど、凍瘡(とうそう)痔(じ)脱肛(だっこう)水虫打撲に効く紫雲膏(しうんこう)などに含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紫根」の意味・わかりやすい解説

紫根
しこん

ムラサキ

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動植物名よみかた辞典 普及版 「紫根」の解説

紫根 (ムラサキネ)

植物。ムラサキ科の多年草,園芸植物,薬用植物。ムラサキの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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