紫苑・紫菀(読み)しおん

精選版 日本国語大辞典 「紫苑・紫菀」の意味・読み・例文・類語

し‐おん ‥ヲン【紫苑・紫菀】

〘名〙
キク科の多年草。シベリア・モンゴル・中国・朝鮮などに分布。日本では中国地方と九州の山地草原自生。高さ一~二メートル。根ぎわに束生する葉は長楕円形で基部は柄に流れ、長さ約三〇センチメートル、茎につく葉は上部へ行くに従って無柄となり、披針形から線形となる。いずれもまばらに粗毛があり、縁に鋭い鋸歯(きょし)がある。茎は上部で多く分枝して、秋に、径約三センチメートルの淡紫色の頭花を多数つける。中心の管状花は黄色。冠毛は白色。根を煎(せん)じて鎮咳(ちんがい)薬に用いる。おにのしこぐさ。おもいぐさ。しおに。《季・秋》
俊頼髄脳(1115頃)「紫苑といへる草こそ心におぼゆる事は忘られざなれとて、紫苑を塚のほとりに植ゑてみければ」
※枕(10C終)一四三「八九人ばかり、朽葉唐衣薄色の裳に、しをん、萩など、をかしうて居並(ゐな)みたりつるかな」

し‐おに ‥ヲニ【紫苑・紫菀】

〘名〙 (「おん(苑)」の韻尾の n を「に」で表記したもの) =しおん(紫苑)
古今(905‐914)物名・四四一「しをに ふりはへていざふるさとの花みんとこしをにほひぞうつろひにける〈よみ人しらず〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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