ぜっ‐たい【絶対】
〘名〙 (形動)
① なにものにも制限拘束されないで、それ
自体として
存在すること。何の条件にもよらずにあること。また、そのさま。哲学的な意味では、いっさいの条件を超越してそれ自体で存在する完全な
独立的
実在をいう。
相対に対していう語。
※妄想(1911)〈
森鴎外〉「
意志が有るから、無は絶待
(ゼッタイ)の無でなくて
相待の無である」
② (
単独、または「に」を伴って副詞的に用いる) どういう場合でもかならず。断じて。なにがなんでも。
[語誌]
仏典に見られる「絶待」を「絶対」と改め、absolute の
訳語にあてたのは
井上哲次郎で、
挙例の「哲学字彙」がそれである。以後、「絶対」は、哲学用語の範囲を超え、学術用語集を含め多くの
辞書に収録されて一般化した。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「絶対」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
絶対
ぜったい
the absolute
相対の対立概念。思考においても実在においても一切他者に依存せずそれ自体として自律的に存在し自己のうちに存在の根拠を有するものをいう。認識論的には,そのものについてのわれわれの表象とは独立に存在しているもの,ものそれ自体。宗教哲学ではキリスト教のように超越的な神の別名となる場合と仏教のように悟りの境地を称する場合とがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
普及版 字通
「絶対」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
世界大百科事典(旧版)内の絶対の言及
【絶対者】より
…他のものに依存せず,自立的・自発的で自在であり,条件や制約による制限を知らず,完全で究極的な存在をいう。古代以来のフュシス,コスモスとしての宇宙,善のイデア等の実体,一者(ト・ヘンto hen),中世以来の神などは,人間を超越する勝義の絶対者である。近世以降では,精神,理性,自我性,人間性,さらには人間に無条件の服従と承認を迫る理念,知・信念などが,人間界における絶対者として登場する。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」