絶対(読み)ぜったい

精選版 日本国語大辞典 「絶対」の意味・読み・例文・類語

ぜっ‐たい【絶対】

〘名〙 (形動)
① なにものにも制限拘束されないで、それ自体として存在すること。何の条件にもよらずにあること。また、そのさま。哲学的な意味では、いっさいの条件を超越してそれ自体で存在する完全な独立実在をいう。相対に対していう語。
哲学字彙(1881)「Absolute 絶対」
※妄想(1911)〈森鴎外〉「意志が有るから、無は絶待(ゼッタイ)の無でなくて相待の無である」
② (単独、または「に」を伴って副詞的に用いる) どういう場合でもかならず。断じて。なにがなんでも。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵鉄道国有我輩は絶対に相場を否認しないが」
[語誌]仏典に見られる「絶待」を「絶対」と改め、absolute の訳語にあてたのは井上哲次郎で、挙例の「哲学字彙」がそれである。以後、「絶対」は、哲学用語の範囲を超え、学術用語集を含め多くの辞書に収録されて一般化した。

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デジタル大辞泉 「絶対」の意味・読み・例文・類語

ぜっ‐たい【絶対】

[名・形動]
他に比較するものや対立するものがないこと。また、そのさま。「絶対真理」「絶対な(の)存在」「絶対君主
他の何ものにも制約・制限されないこと。また、そのさま。「絶対な(の)権力
絶対者
(副詞的に用いる)
㋐どうしても。何がどうあっても。「絶対に行く」「絶対合格する」
㋑(あとに打消しの語を伴って)決して。「絶対に負けない」「絶対許さない」「絶対反対」
[類語](1至高至上唯一無二/(2不可侵完全無欠/(4㋐)強いて敢えてむりやり努めてできるだけ極力なるたけなるべく可及的必ずきっと是非何としてもどうしても何が何でも是が非でも押してたってどうぞどうかくれぐれも願わくはなにとぞなんとかまげてひとつ必ずや必然必定必死不可避誓っててっきり違いないはず決まってすなわち否が応でも否でも応でもいやでもいやとも是非とも平にとくととっくり重ね重ね無理無理算段無理無体無理押し無理強制的強引強気強行独断独断的理不尽強硬頑強問答無用強要力尽く力任せ腕尽くごり押し断固一刀両断横柄威圧的否応無し頑として横紙破り横紙を破る有無を言わせず腕力に訴える横車を押す押し付けがましいねじ伏せる首に縄を付ける遠慮会釈もない遠慮高圧的高飛車頭ごなし押し通す押し付ける一方的豪腕/(4㋑)決して断じて金輪際こんりんざいゆめゆめゆめ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絶対」の意味・わかりやすい解説

絶対
ぜったい
the absolute

相対の対立概念。思考においても実在においても一切他者に依存せずそれ自体として自律的に存在し自己のうちに存在の根拠を有するものをいう。認識論的には,そのものについてのわれわれの表象とは独立に存在しているもの,ものそれ自体。宗教哲学ではキリスト教のように超越的な神の別名となる場合と仏教のように悟りの境地を称する場合とがある。

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普及版 字通 「絶対」の読み・字形・画数・意味

【絶対】ぜつたい

無条件。

字通「絶」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の絶対の言及

【絶対者】より

…他のものに依存せず,自立的・自発的で自在であり,条件や制約による制限を知らず,完全で究極的な存在をいう。古代以来のフュシス,コスモスとしての宇宙,善のイデア等の実体,一者(ト・ヘンto hen),中世以来の神などは,人間を超越する勝義の絶対者である。近世以降では,精神,理性,自我性,人間性,さらには人間に無条件の服従と承認を迫る理念,知・信念などが,人間界における絶対者として登場する。…

※「絶対」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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