美弥良久(読み)みみらく

改訂新版 世界大百科事典 「美弥良久」の意味・わかりやすい解説

美弥良久 (みみらく)

日本の西の果てにあり,死者が姿を現すと信じられた島の名で,《蜻蛉日記》《散木奇歌集》などにその趣旨で詠んだ歌がみえる。しかしさかのぼって《万葉集》巻十六には〈肥前国松浦県(まつらのあがた)美禰良久(みねらく)の崎〉,《肥前国風土記松浦郡の条に〈美弥良久の埼〉,《続日本後紀》承和4年(837)7月条に〈旻楽(みみらく)埼〉がみえ,これらは五島列島南端,福江島三井楽(みいらく)の地にあてられている。美弥良久埼は遣唐使の船が寄港し,やがて西南海上に船出してゆくところであった。海のかなたの死者の国としての〈みみらく〉の名が,根の国ニライカナイと相通ずるものであることを,柳田国男は示唆している(《海上の道》)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の美弥良久の言及

【三井楽[町]】より

…人口4306(1995)。遣唐船の最後の停泊地であった歴史をもち,《肥前国風土記》などに記された〈美弥良久(みみらく)〉が三井楽の古名であるという。半島部は楯状火山の京ノ岳(183m)の低平な斜面からなり,ほぼ円形の火山海岸線を示し,斜面は豊かな畑作地帯を形成している。…

※「美弥良久」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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