耳塞ぎ餅(読み)みみふさぎもち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「耳塞ぎ餅」の意味・わかりやすい解説

耳塞ぎ餅
みみふさぎもち

同齢感覚といわれている習俗。同年齢の者が死去したとき、災いが自分に及ばないよう両耳に餅を当てて聞かぬことにする呪(まじな)いをいう。同齢といっても、自分の家から屋根棟の見える範囲の人としている所が多い。秋田県では、耳を覆った餅は川に流すといわれ、子供の死の場合に多いという。徳島県の祖谷山(いややま)村などでは、人の死を聞くと鍋(なべ)ややかんの蓋(ふた)を耳に当てて、「よい事聞いても悪い事聞くな」という。耳塞ぎ餅の習俗は、中世文献にも記載され、『実隆公記(さねたかこうき)』『御湯殿上(おゆどののうえ)日記』などに「年違い餅」として言及されている。

[大藤時彦]

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