腰差し(読み)こしざし

精選版 日本国語大辞典 「腰差し」の意味・読み・例文・類語

こし‐ざし【腰差・腰指】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 腰に差すこと。また、そのもの。腰に差して携帯するもの。矢立など。
    1. [初出の実例]「腰指の石筆かみしめし」(出典:浄瑠璃・日本振袖始(1718)二)
  3. 特に、腰刀(こしがたな)をいう。腰の物。脇差。
    1. [初出の実例]「北条下総守 六拾丁 鑓、弐拾人〈甲打物 籠手 腰指〉手明」(出典:上杉家文書‐天正三年(1575)二月一六日・上杉家軍役帳)
  4. 戦場で、腰に差して目じるしとした小さい旗。腰小旗(こしこばた)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. 腰差<b>③</b>〈単騎要略被甲弁〉
      腰差〈単騎要略被甲弁〉
    2. [初出の実例]「余りに急ぎ未だ腰差をせず、高名いちじるしくせんには、印無て甲斐あらじと立帰りぬれば」(出典:奥羽永慶軍記(1698)九)
  5. ( 腰に差して退出するところから ) ほうびとして賜わった巻絹(まきぎぬ)布施。こしづけ。
    1. [初出の実例]「御前にはみなこしざし給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
  6. 御霊会の神幸列中の馬長(うまおさ)の腰に差す風流の作り花。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の腰差しの言及

【笠印】より

…笠(兜の鉢の後ろの鐶(かん)や前立てにつけることが多い)に挿頭した目印であるので,かさじるしと呼ぶとされるが,語源は明確ではない。鎧の袖につけた袖印も,腰につけた腰差しも,おしなべて識別のための目印を笠印と称する。古くは《吾妻鏡》文治5年(1189)7月8日の条に,下河辺行平が先祖藤原秀郷の故実と称して,源頼朝に調進した甲冑の兜の後ろに笠標の簡をつけており,袖につけるのが尋常ではないのかとの疑問を持たれている。…

※「腰差し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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