英祖(沖縄)(読み)えいそ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「英祖(沖縄)」の意味・わかりやすい解説

英祖(沖縄)
えいそ
(1229―1299)

沖縄の黎明(れいめい)期の王と伝えられる人物。太陽(てだ)の子といわれ、神号を恵祖日子(えそのてだこ)と称した。国中に飢饉(ききん)や疫病がはやり人民の生活が疲弊したおり、時の王義本(ぎほん)は臣下の勧めにより英祖をして政事をとらせたところ、災いはすっかり収まったので、これをみた義本は英祖に位を譲ったのだという(1259)。英祖の治政になると、沖縄の各島から入貢が相次ぎ、国勢も安定するようになった。浦添(うらそえ)に極楽(ごくらく)寺を建立し、禅鑑(ぜんかん)なる僧侶(そうりょ)を重用して仏教の奨励にも努力したという。琉球(りゅうきゅう)王国形成の前史に登場する王ではあるが、伝説のベールに包まれ経歴はほとんど不明。浦添市の浦添ヨウドレは彼の墓である。

[高良倉吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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