デジタル大辞泉 「荷重」の意味・読み・例文・類語
に‐おも【荷重】
1 荷物が重いこと。また、そのさま。「
2 責任や負担が重すぎること。また、そのさま。「新人には
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物体に外部から加えられる力のこと。工学の一分野である材料力学、構造力学においておもに使用される術語である。荷重に加わる速度によって静荷重、動荷重に大別される。いずれの場合も物体のある範囲にわたって比較的広く分布して加わっている荷重を分布荷重といい、ほとんど1点とみなされるように狭い範囲に集中して加わっている荷重を集中荷重という。また静止している物体に他の物体が落下して急に止まったときとか、動いている二つの物体が衝突したときのように瞬間的に加わる荷重を衝撃荷重という。
細長い棒の軸線方向に力が加わってその棒を引き伸ばしたり縮めたりする荷重を引張り荷重、圧縮荷重という。また棒の軸線あるいは板の面に垂直方向に力が加わり軸や板に曲げ作用あるいはずり切るような剪断(せんだん)作用を与えるものを横荷重という。棒や板を曲げたりねじったりするように加わる一種の偶力のことを曲げ荷重、ねじり荷重とよんでいる。以上の荷重が同時に二つ以上加わったときには複合荷重という。
[中山秀太郎]
物体の上におもりをのせたときに加わる重力作用のように、静止していてまったく動かない荷重を死荷重という。しかし、材料試験機で棒の両端をつかみ、引っ張ってその材料の機械的性質を調べるときのように、きわめてゆっくり変化する荷重は、その材料に与える作用は死荷重の場合と同じであるから、この両者を含めて静荷重とよんでいる。このほか、材料の圧縮試験、曲げ試験、ねじり試験などを行う場合にも、ゆっくり変化する荷重すなわち静荷重を与えてその材料の性質を調べる。
[中山秀太郎]
荷重が動きながら加わるものを動荷重と総称する。動荷重の種類は多く、いろいろの名がつけられている。たとえば橋梁(きょうりょう)を構成する各部材には自重による死荷重が加わっているが、人間あるいは自動車などが橋の上を渡るときには、それらによる静荷重が橋の上を移動しながら加わるので、これを移動荷重という。クランク軸や電車の車輪を支えている車軸などは回転中ほとんど同じ大きさの荷重を連続的に受けている。これを繰返し荷重という。一方向のみの荷重が繰り返し加わるものを片振(かたぶり)荷重、引張り圧縮が繰り返し加わるものを両振(りょうぶり)荷重という。連続的に不規則な荷重が加わるときは変動荷重という。
[中山秀太郎]
主として工学の分野で用いられる概念で,一般には物体に作用する外力のことをいう。外力には自重も含まれる。物体に荷重が加わると物体には応力が生ずる。この意味で応力を発生させる原因となるものを荷重ということもある。熱応力の原因となる温度分布を熱荷重と呼ぶなどがその例である。
荷重を作用のしかたによって分類する場合,時間的に変化しない荷重を静荷重あるいは死荷重といい,これに対して時間的に変化して作用するものを動荷重あるいは活荷重と呼ぶ。たとえば橋を例にとると,その上をなにも通らないとすれば自重による静荷重が作用していることになるが,自動車などが通過することを考えれば作用しているのは動荷重である。さらに動荷重は,繰り返し作用する繰返荷重,大きさだけでなく方向も変わる交番荷重,急激に作用する衝撃荷重に分けられる。また荷重が物体の表面あるいは体積に広がりをもって分布作用しているとき分布荷重といい,1点に作用しているとみなせるとき集中荷重という。構造物においては荷重の作用方向によって分類することがあり,構造物の軸方向に作用する荷重を軸荷重,横方向に作用する荷重を横荷重という。このほか,荷重の作用によって生ずる材料や構造物の変形により,引張荷重,圧縮荷重,曲げ荷重,ねじり荷重,せん断荷重と呼ぶこともある。なお,負荷を荷重と同義に用いる場合もある。
執筆者:朝田 泰英
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…工学用語。例えば扇風機を考えると,これはモーター(電動機)で羽根を回して風を起こすものであるが,モーターには羽根の回転に伴って発生する抵抗力が作用している。このように,機械においては,駆動する側(上の例ではモーター)に対して,抵抗を及ぼす駆動される側(回転中の羽根)を負荷という。駆動される側が及ぼす力や消費するエネルギーの大きさを指すこともあり,扇風機の場合は,回転数が高くなるとともに負荷も増大する。…
※「荷重」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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