著し(読み)イチジルシ

デジタル大辞泉 「著し」の意味・読み・例文・類語

いち‐じる・し【著し】

[形ク]《「いち」は、勢いのはげしい意の接頭語、「しるし」は、はっきりしている意。室町時代ごろまでは「いちしるし」》「いちじるしい」に同じ。
「―・き山口ならばここながら神の気色をみせよ」〈かげろふ・上〉
[補説]日葡辞書口語形「いちしるい」もみられる。
[形シク]いちじるしい」の文語形

しる・し【著し】

[形ク]
はっきりしている。際立っている。しろし。
大伴の遠つ神祖かむおやの奥つは―・くしめ立て人の知るべく」〈・四〇九六〉
多く「…もしるく」の形で)聞いたこと思ったことなどが、はっきり形に現れるさま。
「さればよと思ふも―・くをかしうて」〈・二七七〉

しろ・し【著し】

[形ク]《「しろ(白)し」と同語源》「しる(著)し」に同じ。
「又―・く院がたへ参るよしを言ひて」〈保元・上〉

いち‐しろ・し【著し】

[形ク]「いちじるし」の古い形。
天霧あまぎらし雪も降らぬか―・くこのいつ柴に降らまくを見む」〈・一六四三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例