改訂新版 世界大百科事典 「藤原効果」の意味・わかりやすい解説
藤原効果 (ふじわらこうか)
二つの台風が互いに相互作用を及ぼすほどに接近(その距離は台風の大きさに依存するが,ふつう1000km以内)すると,ある点を中心に反時計回りに回転運動をするというもの。名称は藤原咲平に由来する。台風は剛体ではないので,台風の中心の移動は位相の変化として考えると,それぞれ台風という渦がもう一方の台風に伴う風によって流されると解釈される。したがって二つの台風の大きさが異なるときは,小さい台風の方がその効果を受けやすいはずである。実際にはより大規模な風があって二つの台風を流しているので,ある点のまわりの回転運動が明瞭にみられないことも多い。二つの台風が北上しているとき相互作用をもつほどに接近すると,東側の方が速く北上することがあるのは,このような効果によると考えられる。しかし藤原効果の理論的な解釈はまだよくわかっていない。
→台風
執筆者:山岬 正紀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報