藤原効果(読み)ふじわらこうか

改訂新版 世界大百科事典 「藤原効果」の意味・わかりやすい解説

藤原効果 (ふじわらこうか)

二つ台風が互いに相互作用を及ぼすほどに接近(その距離は台風の大きさに依存するが,ふつう1000km以内)すると,ある点を中心に反時計回り回転運動をするというもの。名称藤原咲平に由来する。台風は剛体ではないので,台風の中心の移動位相変化として考えると,それぞれ台風という渦がもう一方の台風に伴う風によって流されると解釈される。したがって二つの台風の大きさが異なるときは,小さい台風の方がその効果を受けやすいはずである。実際にはより大規模な風があって二つの台風を流しているので,ある点のまわりの回転運動が明瞭にみられないことも多い。二つの台風が北上しているとき相互作用をもつほどに接近すると,東側の方が速く北上することがあるのは,このような効果によると考えられる。しかし藤原効果の理論的な解釈はまだよくわかっていない。
台風
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

法則の辞典 「藤原効果」の解説

藤原効果【Fujiwara effect】

二つの台風が距離1000km以内に接近すると,相互作用が働いて反時計回りに両者が回転する現象.実際の台風の動きでは,強い指向風が存在していることが多いので単純な回転運動はみられないが,指向風が弱い場合には明らかにこの相互作用に基づくと認められる相互運動がみられることがある.名称は,第5代中央気象台長の藤原咲平がこの回転運動の存在をはじめて提唱したことによる.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の藤原効果の言及

【台風】より

…8月に迷走台風が多いのは一般流が弱いためであるが,台風と高気圧,あるいは他の台風や低気圧と相互作用をして複雑な動きをすることもある。たとえば二つの台風が接近するとある点を中心として反時計回りの回転をする(藤原効果)ことがあるが,これはお互いに他の台風によって流されるためである。台風はしばしば蛇行をするが,その例としてはトロコイド運動と呼ばれるものがあり,数時間ないし6時間の周期をもっている。…

※「藤原効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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