日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤沢桓夫」の意味・わかりやすい解説
藤沢桓夫
ふじさわたけお
(1904―1989)
小説家。大阪に生まれる。東京帝国大学国文科卒業。漢学者の家系に生まれ、旧制大阪高校在学中より『猟人』『龍舫(りゅうほう)』などの同人誌で習作を発表する。『辻(つじ)馬車』に掲載した『首』(1925)が横光利一(りいち)、川端康成(かわばたやすなり)に認められて新感覚派周圏の新人として文壇に進出した。のち、左傾するが健康を害して療養生活を送る。1933年(昭和8)以降、大阪に戻って織田作之助(おださくのすけ)や田辺聖子らと交流して大阪文壇の中心的存在として活躍した。長編小説『新雪』(1941~42)、『大阪自叙伝』(1974)などがある。
[金井景子]
『『藤沢桓夫長編小説選集』全20巻(1954~57・東方社)』▽『『大阪自叙伝』(中公文庫)』▽『『大衆文学大系23』(1973・講談社)』