藤白(読み)ふじしろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤白」の意味・わかりやすい解説

藤白
ふじしろ

和歌山県北西部海南市の一地区。藤代とも書いた。長峰(ながみね)山脈西縁の北麓(ほくろく)にあたり、熊野古道が藤白王子社から藤白坂を登り藤白峠で南へ越える。『日本書紀』には、謀反に問われた有間(ありま)皇子が藤白坂で絞殺されたとある。『万葉集』の「藤白のみ坂を越ゆと白妙(しろたえ)のわが衣手はぬれにけるかも」と詠まれるなど歌枕(うたまくら)の地でもある。藤白王子社(藤白神社)は熊野詣(もう)での貴紳が歌を書いた熊野懐紙を残す。峠の花山(かざん)院御幸の際の頓宮(とんぐう)跡と伝えられる御所の芝は展望雄大な景勝地。国道42号が通じ、阪和自動車道海南インターチェンジがある。また西部の海岸には石油精製所がある。

[小池洋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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