裁可(読み)サイカ

デジタル大辞泉 「裁可」の意味・読み・例文・類語

さい‐か【裁可】

[名](スル)
判断して許可すること。特に、君主臣下の提出する議案を裁決し、許可すること。裁許。「申請裁可する」「裁可を仰ぐ」
明治憲法下で、天皇議会の議決した法律案予算案承認する行為。これによって確定的に成立した。勅裁
[類語]許可認可許諾承認認許允許いんきょ允可いんか容認許容聴許裁許免許公許官許許しオーケーライセンス勘弁容赦特許宥恕黙許批准堪忍寛恕海容目こぼし見て見ぬふり(―する)許す認める見逃す見過ごす大目に見る目をつぶる

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精選版 日本国語大辞典 「裁可」の意味・読み・例文・類語

さい‐か【裁可】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 裁量し、許可すること。特に、君主が提出された法律命令等の案文を自ら裁量し許可を与えること。裁許。允可(いんか)允許。〔改正増補和英語林集成(1886)〕 〔新唐書‐董晉伝〕
  3. 旧憲法で、天皇が議会の議決した法律案、予算案などに署名し、御璽を押して確定する行為。勅裁。

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改訂新版 世界大百科事典 「裁可」の意味・わかりやすい解説

裁可 (さいか)

大日本帝国憲法の下で,帝国議会の議決した法律案・予算案を受け入れ,国家の法律・予算として確定する天皇の行為であり,天皇が統治権の総攬者であることを示す一例(大日本帝国憲法6条)。裁可は,法律等の成立要件であり,これにより拘束力が生じる。裁可は,法律案等の全部に対し,無条件で行われる。その時期については明文規定を欠くが,議会の次会期までと解されていた。裁可行為は,上諭を付して天皇が署名・捺印した後,内閣総理大臣年月日を記入して副署し,主任大臣なども副署するという形式で行われた。不裁可の場合には,なんらの手続もとられない。裁可は天皇の裁量にまかされていたが,帝国憲法時代を通じて不裁可の実例は一つもなく,立憲的に運用された。
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普及版 字通 「裁可」の読み・字形・画数・意味

【裁可】さいか

聞きとどける。〔唐書、晋伝〕竇參の君に得たるに方(あた)り、大事を裁可するに、晉に關咨(くわんし)せざるも、晉、循して駮異(ばくい)する無し。

字通「裁」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「裁可」の意味・わかりやすい解説

裁可【さいか】

旧憲法下で帝国議会が議決した法律案,予算案等について行う天皇の承認。議会の議決は天皇をたすける行為(協賛)であり,法律も予算も裁可によって確定的に成立する。裁可には国務大臣の副署を必要とする。そのほか輔弼(ほひつ)機関の提出する原案を天皇が承認することもいう。

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