裏白(読み)うらじろ

精選版 日本国語大辞典 「裏白」の意味・読み・例文・類語

うら‐じろ【裏白】

〘名〙
① 裏側、内側、底の部分が白いこと。また、そのもの。
(イ) 紙を横に二つ折りにして、表にだけ書いたもの。
(ロ) 底の白い紺足袋。
※万宝鄙事記(1705)一「裏白(うらじろ)とは裏に板を付るを云。是簀戸にあらず」
③ 「うらじろれんが(裏白連歌)」の略。〔寒川入道筆記(1613頃)〕
連句の様式。懐紙の初折の表(百韻なら八句、歌仙なら六句)だけすることをいう。⇔表白(おもてじろ)
※俳諧・誹諧初学抄(1641)初春「裏白(ウラシロ) 懐紙 正月三日 於北野連歌也」
⑤ 南または南西の風の名。まじ。
シダウラジロ科常緑草本。本州中部以南から東アジアの熱帯に広く分布し、暖地に群生する。根茎は針金状で長く地中をはう。葉は太い褐色の柄をもち、長さ五〇~一〇〇センチメートルの二回羽状複葉で、櫛の歯状に深く裂け、表面は鮮緑色、裏面は白色を帯びる。胞子嚢(ほうしのう)群は中脈と縁の中間につき包膜はない。夫婦和合、とも白髪(長寿)を象徴するものとして葉は新年の飾りに、また葉柄は箸(はし)、籠(かご)などにする。うらじろぐさ。うらじろわらび。しだ。ほなが。やまくさ。もろむき。へご。《季・新年》 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・曠野(1689)二「山柴にうら白まじる竈かな〈重五〉」
植物かわらさいこ(河原柴胡)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
⑧ 植物「やぶタバコ(藪煙草)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
⑨ 植物「たけにぐさ(竹似草)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
⑩ 植物「うらじろかんば(裏白樺)」の異名。
⑪ 植物「やまよもぎ(山艾)」の異名。
⑫ 植物「しろだも(白━)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「裏白」の意味・読み・例文・類語

うら‐じろ【裏白】

裏が白いこと。内側・底の白いことにも用いる。
ウラジロ科の常緑、多年生のシダ。主に暖地の山中に自生し、大群落をつくる。葉は長さ約1メートル、上端で二葉片に分かれ、さらに羽状に分かれ、裏面は白みを帯びる。柄は太く茶褐色で強く、かごなどを作る。葉を新年の飾りに用いる。やまくさ。ほなが。もろむき。へご。うらかぜぐさ。 新年》「名こそかはれ江戸の―京の歯朶しだ子規
裏白連歌」の略。
裏白戸」の略。
野菜、特にシイタケの裏側に魚のすり身をつけて蒸し上げた料理。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「裏白」の解説

裏白 (ウラジロ)

学名Gleichenia japonica
植物。ウラジロ科の常緑多年草,園芸植物,薬用植物

裏白 (ウラジロ)

植物。マツ科の常緑針葉高木,高山植物,園芸植物。トウヒ別称

裏白 (ウラジロ)

植物。バラ科の多年草,薬用植物。カワラサイコの別称

裏白 (ウラジロ)

植物。ケシ科の多年草,薬用植物。タケニグサの別称

裏白 (ウラジロ)

植物。キク科の越年草,薬用植物。ヤブタバコの別称

裏白 (ウラジロ)

植物。バラ科の落葉高木。ウラジロノキの別称

裏白 (ウラジロ)

植物。クスノキ科の常緑高木。シロダモの別称

裏白 (ウラジロ)

植物。キク科の多年草。ヤマヨモギの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の裏白の言及

【倉∥蔵】より

…屋根との間も火がまわりやすいので,鉢巻と呼んで,段をつけたり,斜めの持出しにして壁を塗った。入口や窓には板戸の表裏に厚く壁土をつけた扉を釣り込み,入口にはさらに裏白(うらじろ)と呼ばれる表だけに壁土をつけた引戸と格子戸を設け,ふだんは扉は開け放しにして,裏白だけを引いて戸締りをした。土蔵は二階建てのものが多く,壁面が大きいため,下方は雨水で洗われて壁が崩れやすい。…

※「裏白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android