普及版 字通 「襲(漢字)」の読み・字形・画数・意味
襲
常用漢字 22画
(旧字)
22画
[字訓] かさねる・つぐ・おそう・きる
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
声符は(竜)(りゆう)。籀文の字形は(とう)に従う。〔説文〕八上に「衽(えり)を左にしたる袍(はう)なり。衣に從ひ、(たふさふ)の省聲」とする。金文の字形は衣上の左右にを加えており、は竜(こんりゆう)の文様であろうと思われる。即位嗣襲のときに服するものであるらしく、〔左伝、昭二十八年〕「天祿を(う)く」、〔荘子、大宗師〕「伏戲(ふくぎ)之れを得て、以て气母に(い)る」のように用いる。儀礼用に上からこの衣を着用することから襲(かさ)ねる意となり、〔礼記、玉藻〕「裘して門に入らず」というように、羔裘(こうきゆう)(小羊の裘(かわごろも))の上には襲衣しない定めであった。襲用の意から、襲取・襲撃のように用いるが、本来は嗣襲継体の儀礼を意味する字である。
[訓義]
1. かさねる、衣をかさねる。衣をかさねて着ることが、嗣襲の方法であった。
2. つぐ、うける、うけつぐ、およぶ。
3. おそう、はいる、一体となる、とる。
4. きる、衣をきる。
5. 死者にきせる衣、おおう、おさまる、おさめる。
6. 習と通じ、かさねる、ならう。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕 加佐(かさね) 〔字鏡集〕 キル・キス・イル・ハジム・ツグ・ツヅク・オヨブ・オソシ・オホフ・キタフ・マツヘリ・ツツム・カサヌ・カザル・ツギ・ウク・ヨル・カヘル
[部首]
部首は。〔説文〕十一下にを部に属し、「飛なり」とするが、おそらく礼衣の文様に用いるもので、襲がその衣。〔書、顧命〕にみえる綴衣などが、その衣にあたるものであろう。受霊のときなどに服する。ゆえに嗣襲の意となる。その受霊のとき、エクスタシーの状態となり、うわ言のようにものいうことを(しよう)という。〔説文〕三上に「气を失ひて言ふなり」とする字である。〔説文〕に・をみなの省声とするが声が合わず、はおそらく襲の文様、は襲の声儀を承けるものであろう。
[語系]
zip、tjiapは声近く、受霊の衣を身に着けることを、受霊の状態に入って気を失うことをという。は〔新字鏡〕に「宇久川久(うくつく)」と訓し、あらぬことを口走る意。そのような状態で神に接することを接tziapといい、と声義の近い語である。
[熟語]
襲衣▶・襲因▶・襲▶・襲沿▶・襲官▶・襲玩▶・襲裘▶・襲虚▶・襲撃▶・襲故▶・襲攻▶・襲殺▶・襲雑▶・襲事▶・襲取▶・襲受▶・襲承▶・襲職▶・襲侵▶・襲迹▶・襲奪▶・襲伐▶・襲抜▶・襲歩▶・襲封▶・襲冒▶・襲用▶・襲掠▶
[下接語]
衣襲・因襲・掩襲・奇襲・逆襲・急襲・強襲・雑襲・承襲・仍襲・世襲・裼襲・積襲・続襲・踏襲・歩襲・冒襲・奔襲・夜襲・来襲
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報